
(画像=AndreyPopov/stock.adobe.com)
超長期の融資や特産品販売で道南の中小企業を支える
渡島(おしま)信用金庫は道南地域に根差す北海道最古の信用金庫。中小零細企業にリスクを取って融資し、物産店でも地域に貢献する。その経営について在職26年目を迎えた伊藤新吉理事長に聞いた(以下、敬称略)。

伊藤新吉(いとう しんきち)
1969年森高等学校卒業後、渡島信用金庫入庫。南茅部支店長、八雲支店長を経て、87年本店営業部長。95年5月常勤理事、同年7月経理部長、96年5月より現職。2010年より森商工会議所会頭も兼任
▼横顔
一度体調を崩して以降、特に家族との時間を大事にするようになったという伊藤理事長。孫との食事が楽しみだと話す。そのほかにもゴルフが趣味
▼横顔
一度体調を崩して以降、特に家族との時間を大事にするようになったという伊藤理事長。孫との食事が楽しみだと話す。そのほかにもゴルフが趣味
――理事長に就任した1996年当時についてお聞かせください。
伊藤 当時は金融危機の真っただ中でした。就任直後には前理事長による不適切な巨額融資が発覚し、ほとんどが焦げ付く事態に。渡島信用金庫の存続が危うい状況でした。
当時の職員数は200名あまりで、そのままでは人件費の負担に耐えられません。実力主義を徹底して少数精鋭での組織作りを目指しました。年齢問わず能力や意欲がある職員を昇進させ、女性職員も積極的に管理職に登用。全国の信金に先駆けパソコンを導入し、効率化を進めました。いまは役職員数が80人まで減った一方で、意欲的な職員が残ってくれています。立候補してきた20歳代の職員を支店長に置いたこともあります。努力した者が報われる仕組みこそが、強い組織を作るのです。