日本型オペレーティングリースには、「JOLCO」「JOL」の2種類があります。どのような違いがあるのでしょうか。本コラムでは、日本型オペレーティングリースの概要、JOLCOとJOLの違いなどについて解説します。

目次

  1. JOLCOとは?
  2. JOLCOとJOLの違いは?
  3. JOLCOを利用する投資家側のメリット・投資効果は?
  4. JOLCOで対象となる資産は?
  5. JOLCOの市場規模は?
  6. JOLCOの活用が適するケース
  7. JOLの活用が適するケース
  8. JOLCOに関するQ&A
  9. 利益の平準化・経営の安定化を目指す経営者さまへ

JOLCOとは?

JOLCO?JOL?オペレーティングリースを活用するならどっち?
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

JOLCOの概要

JOLCOとは「Japanese Operating Lease with Call Option」の略称です。「Call Option」とは「購入選択権」のことを指し、賃借人は、リース期間中のあらかじめ決められた時期にリース物件を購入することができます。購入選択権はあくまでも権利であるため賃借人は、購入権を行使せずにリース契約を終了することもあります。

JOLCOの構図

JOLCOの構図

JOLCOには、以下の関係者が参加します。ここでは、船舶をリースするケースを例に取引の構図を説明します。

・投資家
・営業者
・船舶メーカー
・金融機関
・賃借人

まずリース会社などは、JOLCOの営業者として投資家と匿名組合契約を締結します。

匿名組合契約とは、商法第535条によると以下のように定められています。

商法第535条
匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる
出典:e-Gov

また、事業の意思決定なども営業者に委ねられています。匿名組合員である投資家は、商法第536条4項で以下のように定められており営業上の責任やリスクを負うことはありません。

商法第536条
4 匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない
出典:e-Gov

匿名組合契約は、オペレーティングリースの営業者と投資家が「1対1」で結ぶ契約で、他にどのような投資家が参加しているのかを知ることができません。

こうした匿名性の高さから匿名組合契約と呼ばれています。

次に、営業者は船舶を購入するための資金を集めます。投資家からの出資金に加えて、その数倍の金額を金融機関から借り入れます。船舶を購入できるだけのお金が集まったら営業者は船舶メーカーから船舶を購入します。

購入した船舶はリース契約を結んだ海運会社に貸し出し、海運会社は定額のリース料を営業者に支払います。海運会社が付与された購入権を行使する場合、営業者には事前に決めていた船舶の買取額が支払われる仕組みです。

海運会社が購入権を行使しない場合、営業者は第三者の買い手を探して物件を売却する必要があります。

営業者は、リース期間中はこうして得た収入から減価償却費や金利、諸費用を引いた損益を、リース期間終了後は物件を売却した利益から出資額に応じた利益を投資家に分配する、というのが一連の流れです。

投資家は、出資によって利益の繰り延べ効果を享受できます。

JOLCOとJOLの違いは?

JOLCOとJOLの違いは?

日本型オペレーティングリースには、JOLCO以外にJOLもあります。JOLは「Japanese Operating Lease」の略称で、上述した購入選択権が付いていないのが特徴です。

JOLは、リース会社の営業者の代表者を「業務執行組合員」とし、投資家は、民法第667条に規定されている任意組合契約を締結します。営業者でリース物件を所有し、リース事業を共同で行います。

出資額の減価償却方法は、投資家の状況によって定率法、定額法を選ぶことが可能です(一般的に定率法になることが多い)。賃借人に購入選択権がないため、リース期間が終了すると営業者は中古市場でリース物件を売却します。リース期間中はリース料収入をもとにした現金分配、リース期間終了後は売却益を出資額に応じて投資家に分配するという仕組みです。

JOLCOを利用する投資家側のメリット・投資効果は?

JOLCOを利用するかJOLを利用するべきか、投資家側の視点から両者の違いを確認しておきましょう

投資の目的に合った方法を選ぶ

JOLCOもJOLも営業者が航空機を購入し、賃借人へ貸し出してリース料を徴収する点では共通しています。上述したように2つの違いは、賃借人に購入選択権が付いているかいないかだけではありません。しかし、購入選択権の有無によってどのような違いがあるのでしょうか。

JOLCOでは、賃貸人と賃借人がリース契約を結ぶ際、賃借人が購入選択権を行使する場合のリース物件の購入価格を事前に決めておきます。

購入選択権が行使されれば投資家は資金を回収できます。実際のJOLCOでは、賃借人の財務状況が極端に悪い場合などを除いて多くのケースで購入選択権が行使されています。投資家からすればJOLCOは安全性の高い投資先といえます。

一方JOLの場合、賃貸人はリース期間終了後に中古市場でリース物件を売却する必要があります。投資の安全性が低下するのではないかと考えられるでしょうか。売却価格は中古市場で決定するため、売却時点で中古市場が活況であれば高く売却できる可能性があります。安全性を重視する投資か収益性を重視する投資か、目的に合わせて選択することが大切です。

利益を繰り延べできる

利益を繰り延べできる

日本型オペレーティングリースに出資している投資家の多くは、決算対策としてJOLCOを利用しています。JOLCOの特徴の一つは、JOLCOに出資した資金分をリース期間の初年度から2年目にかけて大きな金額を損金として計上できることです。JOLCOのためにつくられた営業者が「定率法」で減価償却を適用することで初年度や2年目に大きく費用を計上できます。

営業者に支払われるリース料は一定のため、減価償却費が大きい初年度や2年目において営業者は赤字になり損失を計上します。また出資持分に応じて投資家も損金を計上することになるため、リース期間の初年度や2年目に他の事業などによる利益が大きい場合は、JOLCOの損金で課税所得を圧縮できるのです。

このように決算対策として活用されることが多いJOLCOですが、注意すべき点もあるため、押さえておきましょう。リース期間の最終年にはリース物件の売却益が加算されます。つまりJOLCOへの投資は、利益を繰り延べできることに力点が置かれるべきです。例えば不動産の売却益など突発的な利益が出たときにはJOLCOの利用価値が高いといえるでしょう。

役員退職金の支払いや設備投資など将来必要になる費用への備え、事業承継対策などにも有効です。

JOLCOで対象となる資産は?

JOLCOのスキームを使って貸し出される償却資産としては、主に以下の3つがあります。

・航空機
・船舶
・コンテナ

航空機

JOLCOが利用される案件のなかでも最もメジャーで、航空会社がJOLCOによって旅客機を調達するケースが多い傾向です。旅客機は小型のものでも数十億円、大型になると200億円を超える高額資産となるため、多数の航空会社がJOLCOを活用しています。

船舶

航空機に次いで船舶の調達でもJOLCOは活用されています。なかでもコンテナ船をはじめとする貨物船の調達で多くのJOLCOが組成されている傾向です。コンテナ船は、1隻を新造するのに100億円はくだらない高額資産となり、タンカーや自動車運搬船でもJOLCOが活用されています。

コンテナ

航空機や船舶だけでなく、コンテナ船などで運搬するコンテナもJOLCOの対象資産です。

JOLCOの市場規模は?

JOLCOに関するリサーチやマーケティング、マーケットレポートを配信しているアンクパートナーズ合同会社によると、2021年度のJOLCOへの出資金額は推計約2,417億円でした。新型コロナウイルスの影響により航空機分野が大幅に落ち込んだ2020年度から6%減となっていますが、2022年度以降は穏やかな回復が予測されています。分野別に見ると以下の通りです。

【2021年度のJOLCO分野別出資金】

分野金額比率
航空機1,566億円64.8%
船舶649億円26.9%
コンテナ202億円8.4%
※出資金販売額で集計
※2021年4月〜2022年3月の間に迎えた決算期の数値で集計
参照:アンクパートナーズ合同会社「2022年JOLCOマーケットの動向調査

航空機分野に限ると2020年度は2019年度より40%以上減少し1,602億円でしたが、2021年度は2%減の1,566億円となりました。コロナ渦に伴う入出国などの緩和により、航空機分野は2022年度以降、船舶分野は2021年度以降増加基調と推計されています。

突発的な利益を繰り延べしたり、将来の支出に備えたりすることができるJOLCO、JOLの活用は以下のようなケースで有効です。

JOLCOの活用が適するケース

では、JOLCOの活用が適するケースをご紹介します。

一時的な利益対策

・不動産売却
不動産の売却で多額の利益が出た場合、法人税の課税負担も大きくなります。一般的な法人は資本金に関わらず、法人税の税率は800万円以下の部分に15%、800万円超の部分に23%です。年に3億円の利益が出た場合は、法人税は約6,836万円ですので、JOLCOを活用することで、その年と翌年で課税額を抑えることが可能です。

・保険の解約返戻金
2019年以前は保険料を全額損金算入できる保険が多く販売されていました。解約返戻率も高かったので、経営者や従業員の死亡保障のためだけでなく法人税対策として加入することも珍しくありませんでした。解約返戻率がピークになり、解約金を受け取った場合にJOLCOを活用すると、出資は1度だけで済み初年度や2年目に大きく損金計上を行うことができます。

・JOLCOの償還等
JOLCOは、リース期間中あるいは終了時に航空会社が購入選択権を行使すると、売却益が生じるので投資家には出資額に応じて利益が分配されます。その時点でJOLCOを利用するとさらに利益の繰り延べができます。

中長期的な財務戦略

・利益の平準化
JOLCOは定率法で最初の年と2年目に大きく損金計上を行い、その損益を投資家に分配します。投資家は出資額を上限として損金として計上できますから、利益が大きい年と小さい年がある法人では、利益を平準化できます。

・退職金
JOLCOに投資した場合、航空会社がリース期間中あるいは終了時に購入選択権を行使すると、その時点で出資金のほぼ全額が戻ってきます。役員の退職金は損金にすることができますので、タイミングを合わせて利益を繰り延べし支出に備えられます。

・設備投資等
JOLCOに投資して課税所得を繰り延べることで、社内に蓄積したり設備投資計画を検討できたりすることが可能です。

事業承継

・自社株評価
後継者に事業を行うための資産を承継する際に自社株を移転しますが、非上場会社の株式であっても儲かっている企業では評価額が高くなります。そこで、JOLCOによって損金を発生させると評価額が下がり後継者が買い取りやすくなるのです。

JOLの活用が適するケース

次に、JOLの活用が適するケースをご紹介します。

事業投資

JOLは、リース期間中のリース料収入をもとに出資額に応じた現金分配があります。不動産投資のように、現金分配を安定収入と捉えて事業の1つにすることも可能でしょう。また、リース期間終了後はリース物件を中古市場で売却するので、売却益の分配があり売却差益が期待できます。

減価償却

リース期間中のリース料収入の分配金は、売り上げとして計上し、出資額は減価償却費として計上できます。減価償却の方法には、定額法と定率法が認められていているので、投資家の状況に応じてどちらかを選択できます(一般的には定率法のケースが多い)。

事業承継

株式保有割合は、会社規模の判定に関わらず、50%以上になる会社は株式保有特定会社と呼ばれています。株式保有特定会社の場合の評価方式は、純資産価額方式となり高い評価額になることがあります。JOLを利用し資産と負債を取り込むと、株式保有割合が低下するので、株式保有特定会社ではなくなり併用方式での評価が可能になり、評価額が低くなる傾向があります。

JOLCO・JOLを活用する場合、投資家はSPCが設定した出資額に基づいて出資を行います。1,000万円から出資できるリース案件もありますが、出資額の多くは1口3,000万円から5,000万円となり、1,000万円単位で出資額の上乗せができる仕組みになっています。

投資家は、契約期間中の解約ができません。法人の長期的な事業の見通しや、余裕資金なども踏まえて検討する必要があるでしょう。

JOLCOに関するQ&A

Q.購入選択権があるのはJOLCOとJOLのどっち?
A.購入選択権があるのは、JOLCOです。JOLCOは「Japanese Operating Lease with Call Option」の略で、「Call Option」が購入選択権を意味しています。一方JOLは「Japanese Operating Lease」の略で購入選択権が付いていません。

Q.航空機・船舶・コンテナ以外にJOLCOで対象となる資産は?
A.JOLCOでリースされる主要な償却資産は、「航空機」「船舶」「コンテナ」の3つです。

Q.投資家にとって損金計上以外のJOLCOのメリットとは?
A.投資家は、JOLCOに出資した資金を損金計上できる点はメリットです。またJOLに比べて投資した資金を回収しやすい点も魅力的でしょう。JOLCOではリースの借り手(レッシー)に購入選択権が付与されるのが特徴で、多くのケースで借り手は購入選択権を行使しています。

また購入選択権が行使される際の資産の買取価格は、事前に決められている仕組みです。そのためこの価格で資産が売却されれば元本割れを避けることが期待できます。

利益の平準化・経営の安定化を目指す経営者さまへ

SBIリーシングサービスでは経済効果の高いリース商品を販売しています。航空機リースや船舶リース、コンテナリースなど種類も豊富です。

当社の強みはJOLCO・JOLと、幅広い商品ラインナップでのお取引が可能という点です。利益計画の調整(利益の平準化)を図りたい、経営の安定性を追求したい、そういった課題を解決するさまざまなソリューションをご提供できます。

経営に関するお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

【SBIリーシングサービスのオペレーティングリースが選ばれる理由】
・急な利益の発生でもオペレーティングリースを活用して「利益の平準化」「納税額の平準化」ができた!
・大手航空会社をはじめとした安定したリース先で安心して投資ができた!
・利益計画を順調に進めることができて、経営に対する不安が和らいだ!


【顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの】
・投資家にお支払いいただく代金には、支払期限日までの経過利息相当額が含まれ、支払い遅延の場合、年14.5%の割合による遅延損害金をお支払い頂きます。
・出資に際して投資家から直接当社にお支払いいただく手数料はございませんが、案件組成に関し、アレンジャーに対する手数料、及び弁護士等の専門家にかかる諸費用が、出資金から支出されます。また、会計事務所に対する報酬、及び営業者等の報酬等が将来の費用として支出されます。
・物件の返還が確定した場合、再販代理人等に支払う手数料等が、投資家のご負担となります(現時点では金額未確定により具体的記載ができません) 。
・本事業の清算時には、その費用が本事業に関する財産から支出されます(償還金の送金手数料などは、現時点では予め見積もることができず、記載できません)。
・委託証拠金等は不要です。また本件はデリバティブ取引・信用取引には該当しません。
・投資期間中の現金分配、及び購入選択権行使価格の全部又は一部は、米ドル等の外貨建てです。また、対象資産を再販市場で売却する場合、一般的にリース物件の売却代金は米ドル等の外貨建てになります。これらを円貨に換算する場合に為替変動の影響を受け、事業収支及び損益が当初予定のものから変動する可能性があります。したがって、為替の状況によっては、出資元本が毀損する可能性があります。

【契約に関する重要な事項について顧客の不利益となる事実】
・元本が保証されている商品ではなく、元本割れのリスクがあります。また、投資家が追加出資を行う事態が発生した場合、追加出資した金額を含む出資金額が毀損する可能性があり、この場合、当初出資金額を超過する損失が発生する可能性があります。
・購入選択権が行使されなかった場合、償還金は原則米ドル建てで支払われる予定であるため、米ドル/日本円の為替相場の変動を直接の原因として、投資元本に
損失が生じる可能性があります。
・中途解約は出来ず、売却も困難である等、流動性が低い商品です。
・賃借人が対象物件を購入する権利を保有しており、当該購入選択権の行使により、リース期間満了前に投資期間が終了する場合があります。

SBIリーシングサービス株式会社
 【登録番号】 関東財務局長(金商)第3016号
 一般社団法人 第二種金融商品取引業協会加入