長引く新型コロナウイルスの影響で企業活動が厳しさを増すなか、税制上の工夫により納税額を減らす取り組みが注目されています。本記事では、企業が支払う法人税の節税対策を実行するうえでの考え方と具体的な手法をまとめました。

目次

  1. 法人の税金対策のアプローチ方法は2つ
  2. 法人の税金対策の考え方とポイント
  3. 法人の税金対策10選
  4. 「資産効率を上げる」という視点を持つことが大切
  5. 利益の平準化・経営の安定化を目指す経営者さまへ

法人の税金対策のアプローチ方法は2つ

法人の税金対策10選!基本的な考え方やポイント、節税時の注意点も解説
(画像=Nishihama/stock.adobe.com)

法人税を減らすアプローチ方法は、大別すると以下の2つです。

税額を減少させるアプローチ

法人税は、益金から損金を差し引いた所得が課税対象です。つまり「税額を減らす=所得金額を減らす」ということです。「所得=益金-損金」という算出式から考えると所得を減らす方法として考えられるのは、以下の3つです。

・益金を減らす
・損金を増やす
・両方をあわせて実施する

上記の他に、課税所得の増減とは関係なく税額自体を減少させる設備投資などを促進させるための税額控除制度をうまく利用するという方法もあります。

税金の繰り延べをするアプローチ

税金の「繰り延べ」とは、本来その年に支払わなければならない税金を翌年度や翌々年度に先送りする方法です。代表的な例が減価償却費の先行計上で、減価償却費の計上において「定額法」(一定額を毎年償却する方法)ではなく「定率法」(残存簿価の一定割合を毎年償却する方法)を使う方法が挙げられます。

法人の税金対策の考え方とポイント

一般的な「税金対策」とは、税制上のシステムを活用しながら、なるべく無駄を省いて「適切な」税金額を支払うようにすることです。つまり、法律の範囲内で支払う税金を少なくする方法になります。上述したような法人税の課税対象となる「所得」を減らす際の考え方として、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

「益金不算入制度」を理解する

税務上の概念として理解しなければならないのものが「益金不算入制度」です。これは、会計上収益として計上するものの税務上は益金計上しないものを指します。益金不算入の対象になるのは大きく分けて「益金の条件に当てはまらないもの」「益金の条件に当てはまるが、二重課税になったり不合理な益金になったりするもの」です。

具体的な不算入の益金には、「配当を支払う法人」「受け取る法人」の間での二重課税を防ぐことを目的とした株式の配当金などの受取配当金、所得税や法人税など税金の還付金、保有資産の評価益などがあります。不算入になる受取配当金とは、剰余金の配当や投資信託及び投資法人に関する法律第137条(金銭の分配)の分配額、資産の流動化に関する法律第115条第1項(中間配当)に規定する金銭の分配額などです。

一方、受取配当金のなかでも外国法人(税務上の外国子会社を除く)や公益法人等または人格のない社団から受ける配当や保険会社の契約者配当の額などは不算入にできません。

損金の計上金額を増やす

損金(費用)を計上して会社の所得金額を減らすのは、特に法人が税制上のメリットを得やすい方法です。しかし、何も考えずに損金をたくさん計上すればよいわけではありません。なぜなら、無計画に費用を計上し続けると無駄に会社の資産を減らしてしまうからです。例えば損金を増やすため、実際には必要性の低い設備に投資した場合はどうでしょうか。

設備投資により生ずる減価償却費により今後数年間は税金を抑えられる効果は期待できます。しかし事業上は、好影響が少ないため、その後の収益を向上させることは難しいでしょう。たしかに損金計上額を増やしたことで法人税の納税額は減らせましたが、これでは単に会社の資産を減らしただけです。しかも設備は、将来的に保守・メンテナンスに費用がかかることも忘れてはいけません。

こういった節税対策を行うのであれば、初めから特別な対策などせずにそのまま納税したほうがよいでしょう。税金対策は、目先でプラスの効果が期待できても将来的な会社経営を勘案した場合「効果的なもの」「効果的ではないもの」の2つがあることを押さえておく必要があります。全体を通して大切になってくるのは、がむしゃらな税金対策の実行ではありません。

会社の将来を見据えたうえで、会社の利益を高めながら本当に効果の見込める方法を採用することが求められます。

法人の税金対策10選

ここからは、具体的な法人税対策の方法として、以下の10の方法を解説します。

1. オペレーティング・リースに関する方法
2. 役員報酬に関する方法
3. 役員賞与に関する方法
4. 出張旅費に関する方法
5. 生命保険に関する方法
6. 設備投資に関する方法
7. 福利厚生に関する方法
8. 共済加入に関する方法
9. 減価償却に関する方法
10. 役員やその家族名義の不動産に関する方法

1. オペレーティング・リースに関する方法

最もお伝えしたい方法が、法人の税金対策のなかでも効果が高いとされている日本型オペレーティング・リース(※本コラムではJOLCOを指す)です。

扱われる物件には航空機・船舶・コンテナがあります。基本的な仕組みは、上記の物件のリース事業を行う営業者が匿名組合契約による出資を投資家から募り、加えて金融機関から借入を行ってリース物件を購入、そのリース物件を購入選択権付きで航空会社や海運会社などに貸し出します。

法人の税金対策

投資家のメリットとしては2点です。1つ目は、リース物件を所有する匿名組合営業者は定率法で減価償却費を計上することでリース開始当初は多額の減価償却費を計上可能です。そして、その減価償却費を主とした匿名組合事業の損失を取り込むことができるという事です。分配される損失のうち、税務上損金計上できるのは出資額までですが、出資額を超えた損失については将来の利益と相殺できます。

法人の税金対策

2つ目は、購入選択権が行使されない場合、リース終了時にリース物件を売却してキャピタルゲインが期待できるということです。

これらのケースの優れた点は、投資家の出資持分に応じて損金を計上できる点です。オペレーティング・リースは、このように投資家へのメリットと同時に、匿名組合としても、事業リスクの分散と投資家の事業資金を調達できるという、匿名組合と投資家のどちらにもメリットのある方法といえるでしょう。

【関連記事】オペレーティングリースとは|仕組み・特徴・投資家のメリットを解説

2. 役員報酬に関する方法

原則、役員報酬は損金に算入できるため、会社の所得を減らすことになります。役員報酬をたくさん出せばその分法人の所得は低くなり、税制上のメリットを得ることが可能です。

ただし、役員報酬の大小は法人内で自由に決めることはできますが、損金として参入するためには、毎月の役員報酬を一定金額にすることが必要です。そのため、何かのタイミングで予想以上に利益が出ても「ある月だけ少し多めに支払う」といったことを行っていると税制上のメリットは得られません。

また、仮に役員報酬を引き上げたとしても役員個人の所得は増えてしまいます。これにより、役員個人の所得税額が高くなったり法人が負担している社会保険料の負担金額が増えたりする点もデメリットです。役員報酬を決める際は、こうした点も踏まえて総合的に考えるべきでしょう。

3. 役員賞与に関する方法

同額で定期的に支払う役員報酬は損金に算入できるのに対し、臨時的に支払う役員賞与は原則損金算入できません。なぜなら、あくまで臨時的となることから金額や時期が毎年バラバラになってしまう可能性が高いからです。しかし、例外的に損金に算入できる場合もあります。それは「事前確定届出給与」と「利益連動給与」です。

・事前確定届出給与
事前に支給日と支給金額を定めて所轄税務署長へ届け出ていた場合に損金参入できる方法です。一般的に実際の役員賞与は、業績に応じて支給します。しかし、結果的に業績が想定を下回り役員賞与を予定金額より減らした場合は、事前確定届出給与の特例は活用できないため、なかなか採用しにくいところでしょう。

・利益連動役員給与
業績に応じた役員賞与の損金算入を認めるものです。ただこの制度は、同族会社では採用できません。その他にも要件が厳しいため、こちらも採用しにくい制度といえます。

こうして見ると役員賞与を活用するハードルは、高いことが理解できるのではないでしょうか。代替案としては、従業員への臨時ボーナスとして決算賞与を活用する方法も考えられます。実施するには「事業年度の終了までに従業員全員に賞与額を伝える」「翌事業年度の最初の1ヵ月以内に支給する」「決算賞与の額を未払金として経費に計上する」といったことが必要です。

もちろん実施すれば法人のキャッシュは減ってしまうため、注意しましょう。

4. 出張旅費に関する方法

従業員が遠方へ出張する機会が多い会社なら、出張に伴って支給する日当を経費にできます。つまり「出張日当」は、損金算入できるため、税制上のメリットを得ることが可能です。ただし、法人側で事前に旅費規程を作っておかないと出張日当を損金にできません。そのため、役員や従業員が出張に行く際は、事前に日当を支給する旨を盛り込んだ規定を作成しておくことが必要です。

また、出張日当には他にもメリットがあります。例えば、役員が出張に伴い日当をもらう場合は、会社からもらったお金に税金はかからないため、ポケットマネーとなり個人所得として扱われません。ただしあまりに高額な出張日当を支給した場合は、税務署から経費として否認されるだけでなく個人での給与所得課税の可能性などもあるため、注意しましょう。

出張旅費の経費計上に関しては上限がないというわけではなく、税務署に認められる範囲内であることが求められます。

5. 生命保険に関する方法

法人向け生命保険を活用すると保険料のうち少なくとも一部を損金に算入できるため、法人税の支払い金額を抑えられます。また、手厚い保障が手に入る点もメリットです。

法人向けの保険は、個人向けとは異なり保障内容は法人の規模に合わせたものとなります。それまで支払った保険料よりも多くの金額を返戻金として受け取れるケースもあり、将来的に多額の資産を作れますが、返戻金には法人税が課せられる点に注意が必要です。

6. 設備投資に関する方法

事業年度中に多くの利益が出た場合、企業のさらなる発展を見据えて設備投資を実行することも有効です。一定の制限はあるものの設備投資にかかった設備取得費の一部は、法人税の税額から控除されます。多くの業種で控除の対象となるのは、機械などの設備の取得です。具体的に「新品」「1台あたり160万円以上」の機械装置などで控除される税額は取得価額の7%となります。

また、製造業や建設業以外の業種が対象の経営改善設備の取得も控除税額が7%となる場合があります。ただし「新品で認定経営革新等支援機関からの指導や助言を受けて取得したもの」という制限付きです。

7. 福利厚生に関する方法

前述の決算賞与と同様に従業員のモチベーション向上にもつながる方法として、福利厚生費の活用が挙げられます。福利厚生費は、役員や従業員の福利厚生を目的に給料・交際費以外の間接的な給付の費用科目で損金計上が可能です。例えば、法人が役員や従業員の健康維持のためにスポーツクラブの会費を支払うとその金額を福利厚生費として扱えます。

他にもコンサートや演劇などの美術鑑賞、健康診断の費用、社員旅行の費用なども福利厚生費にすることが可能です。しかし、あくまでも社会通念上認められる範囲の金額という点は押さえておきましょう。

8. 共済加入に関する方法

中小企業に限った方法として「中小企業退職金共済」「小規模企業共済」「経営セーフティ共済」といった共済への加入も挙げられます。いずれも法人より小規模な個人事業主向けに設定されているもので、経営者や従業員の退職金準備や会社の事業資金として活用されています。法人が共済へ支払う掛け金は、法人税の課税対象から控除できるため、税金対策として有効です。

中小企業共済へ加入することで、会社を守る保障を手に入れることになるため、経営者であれば共済への加入を検討してみてもよいでしょう。

9. 減価償却に関する方法

会社で使う不動産や社用車にかかる費用は、経費として計上できます。ただしこれらは、減価償却方法に従って費用を計上することが必要です。土地や建物、自動車などは固定資産となるため、それぞれに国が定めた耐用年数があります。この耐用年数と購入費用を照らし合わせたうえで、減価償却費を割り出し損金に算入することが必要です。

例えば車の場合、新車(普通車)なら耐用年数は6年となります。購入した際の支払い総額が6年分の分割で経費になるため、税金対策という観点では大きな効果を見込めません。一方、4年落ちの中古車の場合は、1年で全額が経費となります。そのため、新たに社用車を購入したり社用車の買い替えを検討したりする場合、4年落ちの中古車を購入するケースも少なくありません。

10. 役員やその家族名義の不動産に関する方法

役員やその家族が所有する不動産を法人に貸し出し、法人から役員らに賃借料を支払う形にすると、経費の総額を増やすことが可能です。

一方、法人から賃貸料を受け取った個人は、その金額が不動産所得として扱われますが、個人では「青色申告特別控除」が使え、課税所得の金額を減らすことが可能です。つまり、貸し出す側(個人)も借りる側(法人)も、この税金対策においてはメリットがあります。

「資産効率を上げる」という視点を持つことが大切

本記事で紹介した税金対策は、永続的なメリットがあるわけではなく税金の先送り的な側面があるため、資産効率を上げることがポイントです。

実際に税金対策を行う際は、自社の状況をよく分析し「どういった税金対策と相性がよいのか」「どのような対策が逆効果なのか」という点において、慎重に判断することが大切です。

利益の平準化・経営の安定化を目指す経営者さまへ

SBIリーシングサービスでは経済効果の高いリース商品を販売しています。航空機リースや船舶リース、コンテナリースなど種類も豊富です。

当社の強みは日本型オペレーティング・リースのJOLCO・JOL、どちらでもお取引が可能という点です。利益計画の調整(利益の平準化)を図りたい、経営の安定性を追求したい、そういった課題を解決するさまざまなソリューションをご提供できます。

経営に関するお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

【SBIリーシングサービスのオペレーティング・リースが選ばれる理由】
・急な利益の発生でもオペレーティング・リースを活用して「利益の平準化」「納税額の平準化」ができた!
・大手航空会社をはじめとした安定したリース先で安心して投資ができた!
・利益計画を順調に進めることができて、経営に対する不安が和らいだ!


【顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの】
・投資家にお支払いいただく代金には、支払期限日までの経過利息相当額が含まれ、支払い遅延の場合、年14.5%の割合による遅延損害金をお支払い頂きます。
・出資に際して投資家から直接当社にお支払いいただく手数料はございませんが、案件組成に関し、アレンジャーに対する手数料、及び弁護士等の専門家にかかる諸費用が、出資金から支出されます。また、会計事務所に対する報酬、及び営業者等の報酬等が将来の費用として支出されます。
・物件の返還が確定した場合、再販代理人等に支払う手数料等が、投資家のご負担となります(現時点では金額未確定により具体的記載ができません) 。
・本事業の清算時には、その費用が本事業に関する財産から支出されます(償還金の送金手数料などは、現時点では予め見積もることができず、記載できません)。
・委託証拠金等は不要です。また本件はデリバティブ取引・信用取引には該当しません。
・投資期間中の現金分配、及び購入選択権行使価格の全部又は一部は、米ドル等の外貨建てです。また、対象資産を再販市場で売却する場合、一般的にリース物件の売却代金は米ドル等の外貨建てになります。これらを円貨に換算する場合に為替変動の影響を受け、事業収支及び損益が当初予定のものから変動する可能性があります。したがって、為替の状況によっては、出資元本が毀損する可能性があります。

【契約に関する重要な事項について顧客の不利益となる事実】
・元本が保証されている商品ではなく、元本割れのリスクがあります。また、投資家が追加出資を行う事態が発生した場合、追加出資した金額を含む出資金額が毀損する可能性があり、この場合、当初出資金額を超過する損失が発生する可能性があります。
・購入選択権が行使されなかった場合、償還金は原則米ドル建てで支払われる予定であるため、米ドル/日本円の為替相場の変動を直接の原因として、投資元本に
損失が生じる可能性があります。
・中途解約は出来ず、売却も困難である等、流動性が低い商品です。
・賃借人が対象物件を購入する権利を保有しており、当該購入選択権の行使により、リース期間満了前に投資期間が終了する場合があります。

SBIリーシングサービス株式会社
 【登録番号】 関東財務局長(金商)第3016号
 一般社団法人 第二種金融商品取引業協会加入