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所有者不明土地の解消に向けた 法改正の背景と担当者が押さえておきたいポイント
1. 所有者不明土地の解消に向けた法改正の背景を理解しよう
ここでは所有者不明土地とは何か、なぜ所有者不明土地の解消に向けた法改正が行われるのかを解説します。
所有者不明土地とは、不動産登記等の土地の所有者台帳によっても所有者が直ちに判明しない、または判明しても所有者に連絡がつかない土地をいいます。
所有者不明土地は以前から存在していましたが、東日本大震災の復興事業をきっかけとして、クローズアップされることになりました。復興事業をしようとしても、対象地の所有者がわからないために事業が円滑に進められないという事態が頻発したのです。
全国的に調査したところ、所有者不明土地の面積は九州全土の面積を上回ると推計されました。そのような広大な土地が利活用されないことは日本の国力を削ぐことにもつながり、人口減少に伴って所有者不明土地が増加することが懸念されました。
また、2040年には所有者不明土地の面積は北海道本島ほどになり、その経済損失は累計で約6兆円になるおそれがあるとも報告されています。そこで、所有者不明土地解消は政府全体で取り組むべき喫緊の課題とされ、①所有者不明土地の発生予防、②所有者不明土地の利用の円滑化という2つの観点からの見直しがなされることになりました。