オペレーティングリース投資が決算対策の手法として再注目されている。一時流行した経営者向けの生命保険やドローン投資を使った決算対策ができなくなったことに加え、対策が完了するまでの期間が最短1ヵ月と短いことや、コロナ禍で落ち込んだリース需要が回復傾向にあることが要因だ。好決算企業の経営者の間で盛り上がりを見せるオペレーティングリースの今を追った。

「決算1ヵ月前でも間に合う」早さが決め手

オペレーティングリース
(画像=phaisarnwong2517/stock.adobe.com)

「オペレーティングリースを活用していなかったら、税金が大変なことになっていた」

都内で不動産業を営む40代の男性は胸をなでおろす。男性の会社では大規模な物件の売買を単発的に行っており、決算直前で想定外の利益が出て納税額が膨らむことがしばしばあった。

そこで男性が注目したのが、航空機や船舶などのリース事業への投資だった。初年度に数千万~数億円を損金に算入でき、課税の繰り延べができる仕組みだ。男性は「利益と納税額を平準化でき、納税資金の計画が立てやすくなることに魅力を感じた」と振り返る。

また、対策が完了するまでの早さも決め手になったという。男性のオペレーティングリース事業ファンドの組成を手がけたSBIリーシングサービスの中村圭造氏によれば、「案件によっては最短1ヵ月以内に対策が完了する場合もある。12月末決算の企業なら、12月初旬にお声がけいただければ間に合う可能性もある」という。

本稿の執筆時点(11月末)だと、3月末決算企業なら十分に余裕のあるスケジュールで進めることができるだろう。「思わぬ急な利益が出てしまい焦っている」という経営者にとっては、貴重な選択肢になりそうだ。

生命保険、ドローン投資……ふさがる対策手段

前述の男性のように、決算対策にオペレーティングリースを活用するのは今に始まったことではない。だが冒頭でも述べた通り、最近になって再び注目されているのは決算対策の選択肢が年々減ってきているからだ。

例えば、中小企業経営者向けの生命保険を活用した決算対策。高額の保険料支払いで法人税を圧縮し、一定期間を経て解約すれば保険料の大半が返戻金で戻ってくる点が人気を集めていた。しかし当局の意向を踏まえ、生命保険各社は2019年に販売を停止した。22年度の税制改正ではドローン投資の手法が使えなくなった。ドローン1機あたりの取得価額が10万円未満だと何機購入しても全額を損金に算入できたが、改正によって少額減価償却資産の対象資産から除外されたのだ。

コロナ禍から復活するオペレーティングリース業界

経営者の背中を押すもう一つの要因が、コロナ禍で需要が一時落ち込んだオペレーティングリースの市況が回復傾向にあることだ。

2020〜21年度は新興国を中心に航空会社の経営悪化が相次ぎ、コロナ禍の影響がなかった19年度に比べるとオペレーティングリースのマーケット規模(*)は4割減の水準となった。しかし航空業界のコロナ禍からの回復や経済活動再開による投資家需要の増加によって、23年度にはコロナ禍前と同水準に戻る見込みだ。

*日本型オペレーティングリースと呼ばれるJOLとJOLCOのマーケット規模。

SBIリーシングサービス
(画像=SBIリーシングサービス 2023年3月期 第2四半期決算説明資料より抜粋。アンクパートナーズ合同会社「マーケットニュース (ミニレポート) 2022年JOLCOマーケットの動向調査「JOLCO+JOLの出資金額」」よりSBIリーシングサービス作成)

このような状況に、経営者をサポートする地域金融機関や税理士、会計士事務所なども熱い視線を送る。前述のSBIリーシングサービスでは、オペレーティングリース事業への投資ニーズを持つ経営者を同社に紹介する地域金融機関などの新規パートナー数が、22年度は9月時点で222社と例年の倍以上のペースで増えているという。

SBIリーシングサービスの中村氏は「案件の引き合いは時間が経つごとに増えており、良い案件はすぐになくなってしまう状況だ」と手応えを見せる。

オペレーティングリース投資の目的は主に3つ

ここからは改めて、オペレーティングリース投資のメリットや仕組みについて説明しよう。そもそもオペレーティングリース投資は、主に以下の3つの目的を達成するために活用される。

①決算対策(決算直前になっても比較的対応が可能)
②法人での資産運用
③事業承継対策

ここまでお伝えしてきたのは主に①の話だ。SBIリーシングサービスの中村氏によると、同社で成約したオペレーティングリース事業のファンドは「決算対策の目的がもっとも多い」という。なぜオペレーティングリースを活用することが決算対策につながるのだろうか。

それを理解するには、日本型オペレーティングリースと呼ばれる「JOLCO」と「JOL」について説明する必要がある。JOLCOは主に法人税の繰り延べを目的とした金融商品、JOLは主にリース料収益とリース物件売却によるキャピタルゲインの獲得を目指す実物資産投資だ。つまり、①に活用するのがJOLCOで、②に活用するのがJOLというわけだ。

<JOLCOとJOLの違い>

SBIリーシングサービス 2023年3月期 第2四半期決算説明資料より抜粋
(画像=SBIリーシングサービス 2023年3月期 第2四半期決算説明資料より抜粋)

JOLCOは「購入選択権付日本型オペレーティングリース」とも呼ばれ、リース期間中またはリース終了時のいずれかの時点で賃借人にリース物件を購入する権利(Call Option)が付与されているリース形態だ。5,000万円程度から出資することができ、一般的に初年度は出資金の80%程度を損金として計上できる。

<損金計上のイメージ>

損金計上のイメージ

この損金を利益と通算することで、節税ではないが決算対策ができるというわけだ。なお税の繰り延べ効果を享受するとともに、リース満了時にリース物件を売却してキャピタルゲインを追求することも案件によっては可能だ。

JOLを活用して法人での資産運用も可能

<JOLの事業性>

SBIリーシングサービス

*投資の成果を保証するものではありません。
*機材の耐用年数に応じて減価償却を取り込みます。

続いて「②法人での資産運用」で活用されるJOLについて説明しよう。前述のように、JOLは航空機を投資対象とした実物資産投資だ。リース期間中、リース料収⼊を原資に現⾦の分配があり、リース終了時に再販市場で対象物件を売却することにより、キャピタルゲインの獲得を⽬指す。1社または複数社で航空機を保有し、⺠法上の組合を通じて航空会社にリースする。

JOLを活用することで、事業投資(法人での資産運用)ができるというわけだ。

オペレーティングリースを活用した事業承継対策

それでは「③事業承継対策」とは何だろうか。大きく以下の2パターンに分けられる。

(a) 事業法人の株価を引き下げるため(→JOLCOを活用)
(b) 持株会社や資産管理会社の株特外しのため(→JOLを活用)

それぞれ簡単に概要を説明しよう。まずは(a)についてだ。未上場の事業法人の株価は、類似業種比準価額方式で計算されることが多い。詳細は省略するが、同方式では法人の利益が減ると株価評価が下がるため、事業承継(後継者への自社株の移転)がしやすくなるというわけだ。

続いて(b)についてだ。事業法人の株式を持株会社や資産管理会社で保有している場合、株式等保有特定会社(法人が有する資産のうち50%以上が株式等である会社)となりやすい。株式等保有特定会社となると、類似業種比準価額方式ではなく純資産価額方式で評価される。

一般的に、類似業種比準価額方式より純資産価額方式の方が株価評価は高くなりやすい。そのため、持株会社や資産管理会社が有する資産の株式割合を50%未満にすることで、株式等保有特定会社から外す選択肢が浮上する(これを俗に「株特外し」と呼ぶ)。

つまり、持株会社や資産管理会社でJOLを購入し、「株式以外の資産」の割合を高めて、株特外しをしようというわけだ。不動産を購入することで株特外しを試みる場合もあるが、資産規模が大きくなるほど、1ロットを大きくしやすいオペレーティングリース(JOL)が活用される。

なお、本稿ではやや駆け足で紹介している部分も多い。税制に関する詳細は管轄の税務署や税理士などの専門家にご相談いただきたい。

為替リスクや信用リスクには注意を

ここまでオペレーティングリース投資のメリットや仕組みについて見てきた。それでは、オペレーティングリース投資にはどのようなリスクがあるのだろうか。前述の中村氏によると「大小合わせてリスクはいくつかあるが、契約の際によくいただく質問は『為替リスク(円高リスク)』と『レッシー(航空会社などの賃借人)の信用リスク』の2つだ」という。

多くの案件は米ドル建てなので、為替リスクが発生する。現在は歴史的な円安局面にあり、円高リスクは気になるところだ。為替動向を読むことは難しいが、日米の金利差を考えれば当面は円安が続く可能性は十分にある。またSBIリーシングサービスでは、円建てのJOLCOや通常の資金回収率の水準を大きく上回る案件の組成も検討を進めているという。

レッシーの信用リスクにも注意が必要だ。特に航空会社はコロナ禍で財務が傷んでいる場合がある。SBIリーシングサービスでは、その国のナショナルフラッグや財務内容が良好な航空会社に極力絞って案件を進めており、「レッシーの信用状況は本当に力を込めて精査している」(中村氏)という。

利益や納税額の平準化に興味がある人は検討を

本稿に出てきたSBIリーシングサービスは2022年11月、設立5年半で新規株式公開(IPO)を果たした。SBIグループのネットワークも生かしながら、同年3月期のオペレーティングリース事業ファンドの組成金額は1,571億円、経常利益は28億円と高い成長を続けている。

強みの一つは幅広いラインアップだ。航空機だけでなく船舶案件まで組成しており、JOLCOやJOL、ゼネラルアビエーション(ドクターヘリなど)を同時に扱うのが特徴。「広義のオペレーティングリースを扱っている日本企業としては、特筆すべき種類の豊富さではないか」(中村氏)

企業の決算対策の選択肢が年々狭まる中、好決算企業の経営者から注目を浴びるオペレーティングリース。決算が迫っている企業の経営者はもちろん、利益や納税額の平準化に興味がある経営者は検討してみてはいかがだろうか。


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・投資期間中の現金分配、及び購入選択権行使価格の全部又は一部は、米ドル等の外貨建てです。また、対象資産を再販市場で売却する場合、一般的にリース物件の売却代金は米ドル等の外貨建てになります。これらを円貨に換算する場合に為替変動の影響を受け、事業収支及び損益が当初予定のものから変動する可能性があります。したがって、為替の状況によっては、出資元本が毀損する可能性があります。

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・中途解約は出来ず、売却も困難である等、流動性が低い商品です。
・賃借人が対象物件を購入する権利を保有しており、当該購入選択権の行使により、リース期間満了前に投資期間が終了する場合があります。

SBIリーシングサービス株式会社
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