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現地調査の重要性とチェックするポイント

法人の継続的顧客管理を行う際に重要となる現地調査のポイントをみたうえで、ケース別に気づきの勘所を解説します。

金融機関のマネロン対策がより厳格になった5、6年前の頃から、法人の預金口座開設については、即日に手続きが完了することはなくなりました。多くの場合、1週間程度の日数を経たうえで、口座開設が行われるようになっています。

では、この1週間程度の日数には、どのような目的があるのでしょうか。この期間に金融機関が行っていることが、本項目のテーマである現地調査です。

まさに、届け出された本社所在地に行職員が赴き、そもそも会社が存在しているかの確認から始まり、申告されたとおりの業種を営んでいるかなど、確認を行うわけです。

現地調査は、口座開設時だけにとどまりません。口座を開設して、実際に預金取引等が開始された後も、継続的顧客管理としての定点観測が欠かせません。融資取引がある法人であれば、四半期ごとの試算表徴求などをはじめとして、おのずと定期的な訪問が行われていますが、預金だけの取引であれば、法人側に決算書類などの提出義務もありません。このため、往来が活発とはいえず、日常的な法人の動きがわかりません。極端にいえば、事業が休眠化しても、何ヵ月もそのことに気付かないこともあり得るのです。

また、例えば産業廃棄物処理業・中古車輸出業など、マネロンリスクの面でより留意を要する業種については、かかる実態把握の頻度を高めている場合もあります。訪問によって企業実態に変化がないことを確認していくことが、リスク管理上も大切です。

商取引という建前のもと不正な資金のやり取りも