オピニオン 中小企業支援の現場から
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「補助金ありき」ではなく事業計画とその実現性をしっかり検証する必要がある

認定経営革新等支援機関として、製造業、小売業、サービス業に対して、大型補助金に特化したコンサルティングを提供している。そのなかで、「事業再構築補助金ありきで新規事業を強引に考える経営者がいかに多いか」を痛感している。せっかく補助金が採択されても、資金調達や事務処理の問題により辞退するケースが多い。

当社は、過去2年間で18社の補助金申請を支援し、全件採択されている。補助金申請を希望する企業と、まず無料個別相談の機会を設け、明確な事業戦略を描いているか、事業計画を実現するに足る社内外の体制を備えているかを十分吟味したうえで、支援を引き受ける。

無料相談の段階でこの条件を満たす事業者は、半分に満たないのが実情だ。特に、事業再構築補助金を希望する事業者にこの傾向が顕著だと感じる。極端な例では「着手金なし・完全成功報酬の形でお勧めのネット集客手法を提案してほしい」「事業再構築補助金が確実に採択される新規事業計画を作成してほしい」と、ほぼ丸投げな相談が後を絶たない。着手金なしのコンサル依頼には、安易で行動を伴わない「補助金ありき」の相談が多く、筆者は丁重にお断りしている。

安易な申請や採択後の事態が相次ぐ