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2023年10月からインボイス制度がスタートします。しかしその内容については、特にフリーランスなどの小規模事業者から負担が大きいとの声が上がっていました。そうした声を踏まえ、令和5年度税制改正大綱では、様々な負担軽減策が打ち出されました。本特別企画では、その軽減策の内容について解説します。

POINT1 なぜインボイス制度に負担軽減策が盛り込まれることになったのか

軽減税率(複数税率)制度の導入から4年間の準備期間を経て、令和5年10月1日から複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。制度開始後は、原則、仕入先等が発行するインボイス(適格請求書)がないと仕入税額控除を行うことができなくなります。

消費税の納税額は、基本的には、売り上げた際に受け取った消費税額(売上税額)から、仕入れの際に支払った消費税額(仕入税額)を差し引いて計算します。これを原則(本則)課税といい、仕入れの際に支払った消費税額を差し引くことを仕入税額控除といいます。

制度開始後インボイスを発行できるのは、インボイス発行事業者への登録申請を行った課税事業者のみです。インボイス発行事業者以外の者(免税事業者や登録を受けていない課税事業者など)からの課税仕入れについては、原則として仕入税額控除を行うことができず、税負担の増加につながります。

一定条件を満たす事業者は免税事業者として消費税の納税義務が免除されていますが、免税事業者であっても、売上に消費税分を乗せて請求することが認められています。免税事業者はインボイスを発行できる課税事業者にならないと、制度導入を機に、販売先等から消費税分の値下げや取引の停止を要求される可能性があるのです。

日本商工会議所が令和4年9月に公表した実態調査では、免税事業者が課税事業者に転換する際の課題として、特に「消費税負担による資金繰りの悪化」について懸念の声が上がっていました。また、消費税を申告したことがない事業者にとって、消費税申告等に係る事務負担も大きいでしょう。

みなし仕入率が低い業種は仕入税額控除が少なくなる