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融資案件の相談を受けたら、何をどのように見て検証すればよいのか、共通する要素や案件別の着眼点を解説する。
担保評価額に加え事業性や経営者に注意
不動産に対する融資を評価する要素は、①物件の担保力、②事業性、③経営者の3点が基本だ。金融機関で特に重視される①担保力に関わる不動産評価額は、前項までで解説されてきた。そのうえで、②事業性や③経営者も重要だ。
②事業性では、長期間の返済が可能かどうかを事業の収支予測などで見ていく。賃貸物件であればレントロール(家賃明細表)や、収支状況の推移を時系列で示したキャッシュフロー表、修繕工事予定表などの資料が基本だ。
資料を通して、融資期間中に各年の収支で返済原資を確保しても無理なく事業として成立するかを見ていこう。キャッシュフロー表や修繕工事予定表は、できる限り提出を求めて確認したい。
注目すべきは、数字の根拠だ。収入であれば、賃料は相場の範囲内か、空室率は妥当か。支出であれば、原状回復費やリフォーム費用として何にいくら支払うかを具体的に想定しているか。老朽化対策の大規模修繕費は妥当な数字か、電気光熱費や清掃費、固定資産税をはじめとする租税公課などの維持費も必要だ。数字一つひとつに注意し、絵に描いた餅となっていないか確認しよう。