融資案件を相談されたとき、融資以外の選択肢も知っておけば、信頼関係の維持・向上につながる。アドバイスや提案の例を紹介しよう。

1【個人】金融機関目線の共有がオーナーの貴重な情報に

近代セールス
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賃貸事業の大半は融資なくして成り立たない。そこで得られる金融機関担当者のアドバイスは、オーナーにとって重要だ。賃貸経営の心構えや融資の条件など、金融機関にとっては初歩的と思うことでもぜひ伝えてほしい。

2022年に30年間の融資返済を終えたオーナーAさんは、いまでも借りた当初に行員から言われた言葉を覚えているという。「想定の家賃収入がすべて入ってくると思ってはいけない。半分は入ってこないと思うべきだが(甘く考えて)返せなくなった人は少なくない」。バブル崩壊から間もない頃に融資を受けたAさんは、行員の言葉を忘れずに収支管理などを堅実にして賃貸経営に取り組んできた。空室が埋まらず苦労した時期もあったが、一度も延滞せずに完済できたそうだ。

賃貸住宅を複数購入して融資を受けているようなオーナーには、金融機関の目線を伝えるとよいだろう。賃貸住宅11棟の融資を受けたBさんが最も印象に残っているのは、稟議が通りやすくなる改善点を伝えて何度も連絡してくれた担当者だという。それをアドバイスする金融機関は少なく、Bさんは改善に努めたことで融資を得られたという。

今後は世帯数が減少に向かうと予想され、賃貸経営はますます厳しくなる。最初の関門である金融機関が賃貸経営に有益な情報を教えることは、より一層重要となるだろう。(永井ゆかり・月刊「家主と地主」編集長)

2【法人】不動産売却や遵法性の対策が役に立つ