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画●晴れ隆雄
近代銀行の落第さんは、新しく担当したエリア内の優良企業H社へアプローチを行っている。何度か電話を入れたが、社長につながらないため、思い切って飛び込み営業を試みた。社長は在社しており面談が実現したものの、冒頭から極めて険悪なムードだ。
社長からは、以前に近代銀行と取引があったものの、近代銀行の前任者と揉めたことから取引を解消したことを聞かされ、「二度と連絡しないでほしい」ときつく言われてしまった…。
もともとH社のあったエリアは前任者から落第さんが引き継いだ地域であり、落第さんは過去の対応と経緯をきちんと確認せずに訪問をしたことについて深くお詫びし、辞去した。
今回の事例は「引継ぎが十分に行われなかったことによるトラブル」である。金融機関の行職員は2〜3年で異動することが多く、取引先とトラブル等があっても、3年も経てば「自店内にそのような経緯があったことを知る人いない」という事態も珍しくない。
しかし、取引先はそうではない。社長や企業担当者は、トラブルのことをいつまでも鮮明に記憶している。そこに何事もなかったかのように、訪問・営業をしてくる新しい担当者に対し、良い感情を持つはずがない。