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(画像=taka/stock.adobe.com)

取引先と自分たちのために金融機関は勇気をもって顧客数を減らすべき

金融検査マニュアルが2019年12月に廃止されたこともあって、金融機関は金融庁から「事業性評価融資」と「本業支援」を積極的に行うように促されてきた。しかし、残念ながら多くの金融機関はどちらの取組みも満足にできていない。

事業性評価融資を行うためには、取引先の事業内容を把握することが重要であり、金融機関担当者には情報の「収集能力」と「分析能力」、そして「時間」が必要となる。いずれもいまの若手担当者が十分に持ち合わせていない。金融機関が、そのような能力を磨く体系的な教育を施していないからだ。

何より、時間が足りない。あまりにも多くの取引先、過剰なノルマを抱え、担当者は取引先に相対する時間を確保できない状態にある。

この結果、表層的な情報しか得られないために事業性評価融資は「絵に描いた餅」となっているのが現状だ。

一社一社にもっと時間をかけられれば目利き力を高められる。ミドルリスク・ミドルリターン先に対して、より高い金利で融資することも可能になる。金融機関本来の強みである融資業務を続けながら、収益力を高めていけるはずだ。

取引先と対峙する時間が増えれば、自ずと担当者の情報収集能力も情報分析能力も磨かれていく。これから入行する新入行員は、数は少なくても取引先との濃密な経験から、豊かな知見を積み上げていってほしい。そうして育った優秀な担当者なら、取引先も喜んで関係を継続してくれるだろう。

赤字を出してでも将来への構造改革を