まずは基本から!NISAとはどんな制度?
NISAとは、少額投資非課税制度のこと。通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で得た利益には税金はかかりません。
預貯金の金利が期待できない現代、国は国民に自助努力を求めています。個人で努力してもらう代わりに「投資信託や株式で得た利益は非課税にします」という制度がNISAです。
NISA口座で非課税になる利益には以下のものが含まれます。
◆譲渡益(購入した投資信託や株式を売却した際に発生する利益)
◆配当金
◆分配金など
2023年現在は「一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA」の3種類の制度がありますが、今回はつみたてNISAと一般NISAを中心にご紹介していきます。
【つみたてNISA】【一般NISA】特徴と注意点
50代からでも始められるNISAには、つみたてNISAと一般NISAがあります。つみたてNISAは少額投資を長期的に、一般NISAは多額を短期的に行うイメージです。ここでは、両者の特徴を注意点をご紹介します。
つみたてNISAと一般NISAの主な違いは6点
つみたてNISAと一般NISAには、非課税投資枠や保有期間、対象商品や購入方法などに違いがあります。まずは両者の違いを確認しながら、NISAの仕組みを把握していきましょう。
年間非課税投資枠
年間非課税投資枠とは、NISA口座で金融商品を購入できる年間限度額のこと。つみたてNISAは年間40万円まで購入可能で、保有限度額は800万円です。一方、一般NISAは年間120万円まで購入可能で、保有限度額は600万円です。なお、両者とも、使っていない非課税枠の繰り越しはできません。
非課税保有期間
非課税保有期間とは、NISA口座内で利益が非課税になる期間のこと。つみたてNISAの非課税保有期間は、商品を購入した年から数えて20年間です。期間終了後は、一般口座や特定口座などの課税口座に払い出されます。
一方、一般NISAの非課税保有期間は、商品を購入した年から数えて5年間です。期間終了後は、以下のいずれかの方法を選択します。
- 一般口座や特定口座などの課税口座に払い出す
- 売却する
- ロールオーバーする
ロールオーバーについては、後ほど詳しく解説します。
対象商品
購入できる商品にも違いがあります。つみたてNISAで購入できる商品は、公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)のみです。つみたてNISAは長期投資を基本としているため、金融庁が長期投資に適していると認めた商品のみ購入できます。
また、投資信託を購入する際は一般的には3%前後の手数料がかかることが多いですが、つみたてNISAで扱っているすべての商品に購入手数料はかかりません。
一般NISAで購入できる商品は以下の通りです。
- 株式投資信託
- 国内・海外上場株式
- 国内・海外ETF
- ETN(上場投資証券)
- 国内・海外REIT
- 新株予約権付社債(ワラント債)
NISA口座は証券会社や銀行などの金融機関で開設できますが、金融機関によりNISA口座で購入できる金融商品は異なります。銀行は主に投資信託が中心のため、株式・ETF・REITなどを購入したい人は証券会社でNISA口座を開設しましょう。
商品購入方法
つみたてNISAの商品購入方法は、積立投資のみです。積立投資とは、一定の期間ごとに一定の金額を使い、同じ商品を購入する方法です。
つみたてNISAでは毎月決まった金額を積み立てる人が多いですが、毎日積立をすることも可能。毎月3万円でも、毎日1,000円でも、自分の好きな方法が選べます。コツコツと貯金をするようなイメージを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
また、ボーナス月に投資額を上乗せすることも可能です。
一般NISAの商品購入方法は、積立投資に加えてスポット購入も可能です。スポット購入とは、金融商品を自分の好きなタイミングで一括購入すること。金融商品が値下がりしているときや資金に余裕ができたときに、買い足せることが魅力です。
ロールオーバーの可否
ロールオーバーは、一般NISAのみ可能です。ロールオーバーとは、持っている金融商品を翌年の非課税投資枠に移動させることです。
例えば、非課税保有期間終了時に保有していた50万円の金融商品を、そのままNISA口座で持ち続けたいとしましょう。ロールオーバーが可能な一般NISAなら、50万円を翌年の非課税投資枠に移動させることで、保有し続けられます。
ただし、年間120万円のうち50万円はロールオーバーで使用してしまうため、新たに投資できる金額は70万円までになります。
また、ロールオーバーに金額の上限はありません。120万円以上ロールオーバーすることも可能ですが、ロールオーバーで翌年の非課税投資枠を使い切ってしまうと、新たな投資ができなくなってしまうため注意が必要です。
制度実施期間
つみたてNISAの実施期間は2042年まで、一般NISAの実施期間は2023年までです。実施期間内に購入した金融商品は、購入した年から20年もしくは5年の非課税期間が適用されます。
例えば、つみたてNISAで2023年に購入した商品の利益は、20年後の2043年まで非課税です。
一般NISA終了後の2024年からは、新しいNISA制度が始まります。詳細は後ほどご紹介しますが、新しいNISAが始まっても現行のNISAは新しい制度の外枠で非課税になるため、今すぐに始めても損することはありません。
加入可能年齢の上限はない!
「NISAは若い人向けの制度」と思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。実際に、NISAの加入可能年齢に上限はないのです。50代はもちろん、60代、70代の定年以降でも始められます。
ちなみに下限には制限があり、18歳から利用可能です。
年単位でつみたてNISAと一般NISA間の変更が可能
NISA口座を開設できるのは、1人1口座のみです。口座の開設をしたら、つみたてNISAか一般NISAかどちらか一方を選ばなくてはなりません。しかし、一旦選んだ後でも、年単位ならつみたてNISAと一般NISA間の変更は可能です。
投資は始めてみないとわからないことも多いため、NISA間の変更ができるのは大きなメリットでしょう。
損益通算や口座間移動はできない
NISA口座は、他の口座との損益通算や金融商品の移動はできません。NISAは投資初心者でも安心に始められるような工夫がされていますが、100%損失がでないとは言い切れません。投資のため、損失が生じる可能性もあります。
しかし損失が生じた場合には、他の口座で保有している金融商品との損益通算はできないので、注意が必要です。同様に、NISA口座と他の口座間で金融商品を移動させることもできません。