「アクティブシニア」という言葉があるように、年金が受給できる年齢になっても、気力体力が続く限り就業する人が増えました。
しかし、定年後の働き方によっては、年金が減額されてしまうケースがあります。ある基準以上に達すると、「老齢厚生年金」が減額されてしまうのです。
今回は、どのような働き方をすると年金が減額されるのか、また、減額されずに働くための対策方法を解説します。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の違い

まず、老齢年金の種類について解説します。年金には「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2つがあります。
日本年金機構のホームページでは、老齢基礎年金と老齢厚生年金の違いについて、下記のように説明されています。

老齢基礎年金は、国民年金や厚生年金保険などに加入して保険料を納めた方が受け取る年金で、加入期間に応じて年金額が計算されます。

老齢厚生年金は、会社にお勤めし、厚生年金保険に加入していた方が受け取る年金で、給与や賞与の額、加入期間に応じて年金額が計算されます。
参考:「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の違いは何ですか。|日本年金機構


自営業やフリーランスで国民年金にのみ加入していた人は「老齢基礎年金」のみを受け取れ、会社員として厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金のほかに老齢厚生年金も受け取れます。

なお、定年後の給与や報酬が一定基準を超えても、老齢基礎年金の支給金額は減額されません。減額の対象となるのは「老齢厚生年金」の金額ですのでご注意ください。

年金が減ってしまうのはどういうとき?

年金が減らない働き方をするにはどうすればいいのか
(画像=「シニアタイムズ」より引用)

年金が減額するのは、「60歳以上で厚生年金に加入しながら働き、年金を受給しつつ、規定額以上の収入を得た場合」です。
60歳以降も厚生年金に加入し、働きながら受け取る年金を「在職老齢年金」と言います。
なお、今年2022年4月から在職老齢年金の計算方法が変わりましたので、ご注意ください。

月47万円を超えなければ全額支給となる

2022年の3月までは、在職老齢年金の受給者のうち、年金の基本月額(老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額(標準報酬月額に賞与等を12で除したものを加えたもの)の合計額が、65歳未満では28万円を、65歳以上では47万円をそれぞれ超えるときは、その超える部分の金額のうち基本月額または総報酬月額相当額に応じて所定の方法により計算した金額が、毎月の支給すべき年金額から減額されていました。

しかし2022年4月以降は、年齢を問わず47万円を超える場合に限って、毎月、(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)÷2により計算した金額が減額されることとなりました。

ちなみに国税庁が調査した「令和2年民間給与実態統計調査」によると、60歳から64歳の再雇用期間にある男性の平均年収は521万円であることがわかりました。一方で同年代の女性の平均年収は257万円でした。

国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」より、年齢階層別の平均給与グラフ
(画像=「シニアタイムズ」より引用)

たとえば平均年収である521万円の方の標準報酬月額が34万円、賞与等の総額が113万円だと仮定すると、34万円に113万円を12か月で割った金額を加算すると、総報酬月額相当額は43万4,166円になり、また基本月額が10万円だと仮定すると、月53万4,166円となり、ここから47万円を控除した金額の2分の1に相当する3万2,083円が、基本月額から減額される計算になります。