近代セールス
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Q 前回、架空計上がわかったB/Sについて引き続き分析のポイントを教えてください。

A 「経営を改善する」という目線で分析を進め、B/Sの肥大化がないか確認することが大切です。

最終回となる今回は、前回に引き続きある電気工事業者の財務分析を行っていく。

まず、前回「B/S分析①~⑤」により、現預金に1000万円、棚卸資産に3000万円の架空計上が見つかり、第7期は大幅な赤字、かつ実態債務超過であることが判明した(図表1・2)。

経営状態は非常に悪く、金融機関からの資金調達に不安があり、早期の経営改善が急務だといえる。よって、この先の解説では「経営を改善する」という目線でさらに財務分析していこう。

本連載では何度も〝経営とは『調達と運用を最適化し、利益を最大化する行為』である〟と説明してきた。調達は自己資本によって行われ、運用は「利益を生み出す」資産ばかりで構成されることが望ましい。

反対に、他人資本( ≒借入)に依存し、利益を生まない資産が増えると経営は弱くなる。この場合、B/Sは肥大化していく。中小企業経営に多く見られる病やまいといえる。ここを財務分析でチェックしていく。

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利益が増えなければB/S肥大化へ