介護保険制度とは?仕組みを徹底解説!

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

介護保険制度とは、介護が必要な人に、介護サービスを受ける費用を国が一部負担してくれる制度です。

介護にかかる費用負担軽減や利用者の自立支援が主な目的。高齢者の介護を社会全体で支える仕組みになっています。

被保険者は第1号と第2号に分類される

介護保険制度の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者に分類されます。

  • 第1号被保険者:65歳以上の人
  • 第2号被保険者:40歳から64歳までの人


被保険者とは加入者のこと。日本国民は40歳になると介護保険への加入が義務付けられ、介護保険料の支払いが発生します。

介護保険料の平均は月6,000円代だが状況により異なる

厚生労働省の「介護保険制度をめぐる最近の動向について」によると、2023年の第1号被保険者の平均介護保険料は月額6,014円です。

第2号被保険者の平均介護保険料は、2020年時点で5,669円。2022年は見込み額として6,829円と予想されています。(※1)

調査の結果から、介護保険料は月6,000円程度が平均的とわかりますが、実際の保険料は被保険者の状況により異なります。

※1:厚生労働省|介護保険制度をめぐる最近の動向について

第1号被保険者の介護保険料

第1号被保険者の介護保険料は、自治体が徴収します。介護施設の状況や要介護者数は自治体により異なるため、介護保険料も自治体により異なります。

なお、保険料の支払い方法は年金からの天引きが一般的です。

第2号被保険者の介護保険料

第2号被保険者の介護保険料は、加入している健康保険と同時に徴収されます。保険料の決め方は、加入している健康保険により異なります。

企業の健康保険組合や協会けんぽなどに加入している場合、給与に介護保険料を掛けて計算され、事業主が費用の半分を負担します。なお健康保険と同様に、被扶養配偶者は介護保険料を個別に支払う必要はありません。

国民健康保険に加入している場合、「所得割・均等割・平等割・資産割」などを用いて計算しますが、計算式は自治体により異なります。

介護保険が使える対象者は介護支援認定を受けた人

介護保険が使える人は、以下の条件を満たしている人です。

第1号被保険者の場合

  • 日常生活を送るうえで、介護や支援が必要な状態の人
  • 自治体から介護認定や支援認定を受けた人


第2号被保険者の場合

  • 以下の病気が原因で介護や支援が必要な状態の人(※2)
  • 自治体から介護認定や支援認定を受けた人

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

※2:厚生労働省|介護保険の解説「介護保険とは」

40歳以上の人は自動的に介護保険の被保険者になりますが、介護認定や支援認定を受けないと介護保険は適用されないことを覚えておきましょう。

なお、65歳以上になると介護保険被保険者証が自治体から郵送されてきます。40歳〜64歳までの人は、介護認定や支援認定をされた人にのみ、介護保険被保険者証が発行されます。

介護サービスを受けた場合の自己負担額は原則1割

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

介護保険を適用して介護サービスを受けた場合の自己負担額は原則1割一定以上所得がある人は2割もしくは3割になります。

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

例えば、1割負担の人が5万円の介護サービスを受けた場合、自己負担額は5,000円になります。

介護保険施設やショートステイを利用する場合は、基本的に居住費や食費・日常生活費は自己負担です。しかし、世帯全員が市町村税非課税の世帯に対しては、補足給付が行われます。

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

自己負担割合は、要介護・要支援認定後に発行される介護保険負担割割合証で確認できます。

介護費用が高額になった場合は軽減措置がある

1ヶ月の介護費用が高額になった場合や所得の低い世帯には、介護費用が軽減される制度があります。(※3)

特定入所者介護サービス費(補足給付)

特定入所者介護サービス費とは、所得や資産が一定以下の人が以下の施設を利用した場合、負担限度額を超えた居住費や食費が支給される制度です。

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • ショートステイ

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、1ヶ月の介護サービスの合計金額が所得による限度額を超えた場合に、超えた分が後から支給される制度です。

高額介護合算療養費制度

高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の自己負担額を合算した金額が、所得による限度額を超えた場合に、超えた分が後から支給される制度です。

※3:厚生労働省|介護保険の解説「利用者負担の軽減について」

介護度は7段階

介護度は、以下のように要支援1〜要介護5までの7段階に分かれます。

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

介護度は自分で申請する訳ではなく、医師の診断書や介護調査員により判定されます。

介護サービスの利用上限額は介護度により異なる

介護保険を利用して介護サービスを受けた場合の自己負担額は原則1割ですが、1割負担で利用できる介護サービスの上限額は、介護度により異なります。(※4)

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

※4:厚生労働省|介護保険の解説「サービス利用者の費用負担等」を基に作成

もちろん、限度額を超えても介護サービスは受けられます。ただし、限度額を超えた分は全額自己負担になることを忘れないようにしましょう。

ちなみに、生命保険文化センターの2021年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護度別の1ヶ月にかかる介護費用は、平均8.3万円でした。(※5)

(画像=「シニアタイムズ」より引用)

※5:生命保険文化センター|2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」〈図表Ⅱ−64〉介護費用(月額)(要介護度別)を基に作成