税制改正で変わる!相続・生前贈与のアドバイス
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5 家族信託

賃貸物件の管理や修繕などを早い段階から任せられ相続対策にもなることを案内

お客様の事情に合わせて様々な方法を提案するなかで、家族信託を提案できるケースを述べていく。前提として、筆者は家族信託のみを積極的に推進する考えではない。お客様にはできることとできないことを十分に伝えて、お客様や家族が納得した場合にご案内することが大切と考えている。

まず家族信託の仕組みから述べよう。これはお客様が家族などとの間で信託契約を結ぶことができる仕組みだ。例えば、財産の所有権を子どもや親族などの受託者に移し、お客様自身は委託者兼受益者として、そこから得られる収益を受け取る契約を結ぶことが可能だ。

将来お客様が亡くなった場合などに財産の受取人も指定しておけるので、相続対策にも活用できる。成年後見制度は家庭裁判所等での手続きが必要だが、家族信託は裁判所は関与しない点も特徴だ。

昨今、営業店では家族信託に関する相談が増加していると思う。ただ、筆者が感じているお客様の傾向は、家族信託に関心はあるものの「実は制度の詳細はよく理解していない」「認知症に備えることを期待しているが、家族信託を活用することに不安に感じている」という場合が多い。

こうしたお客様はすでに専門家から丁寧な説明を受けたが、それでも理解していないケースが多い。家族信託はまだまだ一般的な仕組みではないので、お客様の理解度を丁寧に確認するプロセスが重要であると感じている。その役割は、金融機関の担当者こそが担えるはずだ。

では、家族信託はどんなお客様に提案できるのか。