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個人・法人の各分野における基礎知識とお客様への説明・交渉ポイント
金利の反転とともに知識と交渉力が求められる
昨年12月、日銀は長期金利の政策目標の上限を0・25%から0・5%に変更した。市場の長期金利は0・5%近辺に動いた。この情勢を受けて、10年固定の住宅ローンや、長期の事業性融資の基準金利を引き上げている金融機関もある。金融機関にしてみれば、現状の約定金利水準が低いだけに、たとえ0・1%の利上げでも収益への寄与は大きい。
2月には衆議院運営委員会で次期日銀総裁候補の経済学者植田和男氏に対する所信聴取が行われるなど、金融政策の変化や金利動向に目が離せない状況が続く。
振り返ると、この20年間で貸出約定平均金利は大きく低下した(図表)。融資残高が伸びないなかで低金利政策が続いて金利競争は激化し、証書貸付の折り返しや一本化のたびに低金利を提案する営業スタイルが定着していった。
この間、金融機関担当者一人当たりの融資担当先数は増え、第一線の融資営業力は低下してきたと感じる。真に支援を必要とする小規模事業者や低格付先、信用保証協会メイン先などへの対応が手薄になってきた。中小企業経営者からは、「取引金融機関の訪問・接触が減った」「役務収益がらみの提案は多いが資金繰りに真剣に耳を傾けてくれることは少なくなった」「足元の状況や今後の見通しより過去の財務数値を重視する姿勢は何も変わっていない」といった声を多く聞く。

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