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長らく低金利が続いただけに、金利の引上げは神経を使う問題だ。その進め方を解説とマンガで紹介する。
part1 お客様にはこのように金利の事情を説明しよう
昨年12月に日銀が長期金利の上昇を容認する方向に政策を修正したことで、金融機関の金利引上げが注目されている状況だ。融資の金利は、金融機関の調達コストや融資先の信用コストが変わった場合に適正に見直す必要がある。金融政策で利上げが実施されれば、金融機関の預金金利が上がって調達コストが高まるため、融資金利も見直す展開が考えられよう。
12月の政策公表後も「説明なし」は7割
2月には、金融政策に関連して東京商工リサーチが中小企業を中心に調査した結果を公表した(図表1)。その結果、メインの金融機関から資金調達の借入金利について説明があったかどうかの質問に対し「金利の話はしていない」か「政策変更後に金融機関と接触していない」と回答した企業の割合は、76・21%に上った。大半の企業が金利について何の話も受けていないことになる。
この結果に、地方銀行の現場で金利交渉も経験してきた筆者は非常に驚いた。金利が動きそうなタイミングでは取引先と何らかのアプローチをしておくのが大切だからだ。
特に金利の引上げは、取引先にとって心理的な抵抗感が強い。事前のコミュニケーションなしに突然告げれば不信に思われかねず、交渉を拒否される場合もありうる。しかも今回のような政策が要因の場合、すでにメディアやSNSなどを通じて取引先は注意を払っているかもしれない。後手に回らないように素早い行動が必要だ。

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