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提案の「宝の山」経営課題がわかり多面的な検討が可能に

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財務諸表は取引先を審査するだけでなく、営業アプローチでも貴重な〝宝の山〟だ。今回は、最も多様なアプローチを検討できる「売掛金」について考察したい。
売掛金は、企業が商品やサービスを提供したが、まだ代金を受け取っていない未回収の売上代金だ。貸借対照表では資産の部に計上される。売掛金の増加は未回収代金の増加であり、資金繰りが厳しくなる性質がある。一方、販売先の信用状態が悪化すると売掛金の回収は困難になり、貸倒れとなるリスクがある。
売掛金に関わる経営課題としては、以下の2つが挙げられる。
1つ目は、売掛金増加に対応した運転資金の確保や売掛金回収期間の短縮である。
売上高が増加すると、未回収の代金の金額が比例して増えていく。企業が継続的に売上を伸ばしていくためには、増加運転資金を金融機関からの借入金などによって確保することが必要になる。なお、代替策として、回収期間の短縮により増加運転資金の増加を抑制する手もある。
2つ目は、売掛金の貸倒れや長期化の防止など、販売先の信用管理の問題だ。取引先にとっては、売掛金の貸倒れリスクを防止するため、販売先の事前の信用調査、クレジット上限の設定、長期化債権の督促などにより信用管理することが必要となる。