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値上げラッシュの原因は何か、なぜ株価は急落したのか──。経済指標はこうした金融市場の反応や経済動向を把握するための重要なバロメーターである。

金融機関の担当者は顧客に正確な情報を提供し、正しい選択に導くという役割がある。そのためには、各経済指標が表す意味をしっかり理解しておく必要がある。本連載では、金融機関担当者が押さえておくべき経済指標を取り上げ、指標の持つ意味や読み方について解説していく。

第1回目の今回は、経済指標を押さえておくことで具体的にどのようなメリットがあるのかを確認しよう。

1つ目のメリットは経済の実態を正しく理解できることだ。例えば「コロナ禍の外出自粛の影響で家計の貯蓄は増えているが、自粛が緩和されても消費は盛り上がらない」という記事を目にしたとする。そのとき「物価が上がっている(①)から、家計の収入は目減りしている(②)はずだ。消費が盛り上がらないのは将来不安がある(③)からでは?」と考える。

ここで経済指標の知識があれば、①は「消費者物価指数」(総務省)」、②は「毎月勤労統計調査(厚生労働省)」、③は「消費動向調査(内閣府)」を確認することで、自分の考えが正しいか判断できるのだ。

2つ目は金融市場の反応を正しく理解できることだ。金融市場を大きく動かす経済指標の1つが米国の雇用統計である。ここでポイントになるのが、雇用統計発表時の金融市場の反応はその時々で異なるということだ。

雇用者数が市場予測を上回る数値の場合、㋐「景気がよい⇒企業業績がよくなる⇒株価上昇」となるケースもあれば、㋑「景気がよい⇒利上げ懸念⇒金利が上昇⇒株価下落」というケースもある。

雇用統計の数値を正確に読むことができれば、金融市場が統計のどの数値に反応したのかがわかるようになる。

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バイアスや思い込みによる間違った選択を止められる