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企業に寄り添い事業の成長と発展を喜び合える関係を目指そう
企業を支援するためのモニタリングと称して、何もせず放置してはいないだろうか。どうすれば業績が好転するか企業に寄り添い考える、伴走支援が必要だと思う。
筆者が知るA君は、支店の融資取引をけん引する優秀な中堅行員だ。コロナ禍の初期は、他行が対応にまごつくなかでフットワークの軽さとデジタルツールを駆使し、コロナ融資を推進して支店の融資先数と貸出金額を大きく増やすことに貢献した。
ただ近頃は、コロナの影響は下火になってきたものの、ウクライナ紛争による資源高などの新たな問題により、資金繰り支援を行った企業の業績回復の遅れが行内全体で目立つようになっている。
また、本来は格下げが必要な企業に対し、コロナの影響を理由に従来の格付を維持する「セーフハーバールール」は、昨年後半から認められないケースが出ている。本部がモニタリング強化を指示する取引先も増えてきた。
コロナ禍で貸出取引を拡大した取引先は、資金繰りを支援した後は放置されがちで、支店が力を入れているオーナーの個人取引や事業承継支援にもさほどつながっていないのが実態だ。A君もまた、コロナ初期の貸出を行ったときに比べ、担当先から足が遠のくようになっていた。