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数ある経済指標の中でも市場参加者が最も注目するのが「米国雇用統計」である。数値が発表された瞬間、世界の金融市場は大きく変動する。そのため、お客様へのアプローチトークとしても利用しやすい。今回は、米国雇用統計はなぜそれほど注目されるのか、結果をどのように見るべきなのか、ポイントについて解説する。

米国雇用統計は米国労働省が発表する月次データで、非農業部門雇用者数や失業率をはじめとする計10数項目の指標が発表される。米国雇用統計が特に注目される理由に、次の3つが挙げられる。

1つ目は米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決めるうえで重視する経済統計だからだ。FRBの使命は「雇用の最大化」と「物価の安定」のため、雇用統計の内容は金融政策の方向を大きく左右する。実際、今年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でパウエル議長は、労働市場や物価の指標が想定以上に強かったため利上げの継続を決めたと説明している。

2つ目は統計の「速報性」だ。雇用統計は原則毎月第1金曜日(ニューヨーク時間午前8時30分)に前月の数値が他の統計に先んじて発表される。米国経済の足元の状況がいち早く把握でき、他の経済指標の予測にも結びつく。

3つ目は労働市場が「米国経済を映す鏡」だからだ。日本と違って業績が悪くなるとレイオフ(一時解雇)が行われる米国では、雇用統計は景気の先行指標(または一致指標)とみなせる。雇用の変化は所得の変化を通じて個人消費へと波及する。米国経済は個人消費支出が約70%を占めるため、個人消費を左右する雇用の変化は重視される。

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表面上の数値だけでなく動いた背景まで意識