
(画像=崇正魚谷/stock.adobe.com)
貸借対照表
8. 棚卸資産
棚卸資産は、業種では主に製造業と卸・小売業で発生します。製造業の棚卸資産は、一般的にこれから製品になる材料在庫と製品在庫、卸・小売業では商品在庫が主となります。棚卸資産はそれらを単一としてではなく、在庫の種類別・性質別に見る必要があります。在庫の種類には商品・製品・原材料などがあります。
一般的に棚卸資産が少なければ、資金が寝ていないことになるので、会計的には良い傾向です。しかし一方で棚卸資産が少なすぎると販売チャンスを逃すことになり、営業的、売上的には大きな問題となります。このように企業にとって棚卸資産は、いかにバランスを取り、適正に保つことができるかという視点で見ることが重要です。
売上高と連動して確認
棚卸資産は通常、売上高の増加に伴って棚卸資産が適正に増加していれば、問題視することはありません。
しかし売上高の増加率より棚卸資産の金額・増加率が伸びている場合や、売上高が伸びていないにも関わらず棚卸資産が増加している場合には、不良在庫の増加や架空在庫の計上を疑わざるを得ません。
適正在庫を見るには、棚卸資産回転期間(=在庫(棚卸資産)÷年間売上高×365日)を算出し、業界平均と比べます。その企業の棚卸資産回転期間が業界の平均値と比べて長ければ、不良在庫を疑いましょう。