株式投資の定着に不可欠な利益と配当の安定的な成長
(画像=PIXTA)

取引先の「イマ」を知るための財務分析手法を理解しよう

ここでは、決算書を読み解くうえで担当者が身につけておきたい「財務分析」について、その手法をチェックすべき指標とともに解説します。

本稿では、企業の財務分析を行う手法として、①収益性分析、②安全性分析、③成長性分析、④生産性分析の4つについて解説します。

これらの分析手法では、いずれも貸借対照表や損益計算書などの決算書の数字を用いて、様々な指標の値を求めます。この財務分析を行うことによって、決算書をぼんやりと見ていただけでは理解できなかった、企業の状況が理解できるようになります。

1. 収益性分析

「収益性」とは、企業の稼ぐ力のことです。企業が継続するとともに発展を続けていくためには、利益を獲得し続けることが欠かせません。

ここでは収益性分析の代表的な指標として、①売上高総利益率、②売上高営業利益率、③売上高経常利益率について説明します。

売上高総利益率=(売上総利益÷売上高×100):売上高に対する売上総利益の割合を表す指標です。粗利率ともいわれ、商品やサービスそのものの稼ぐ力がどの程度あるか表しています。売上原価を減らすことで、売上高総利益率が高まります。

売上高営業利益率=(営業利益÷売上高×100):売上高に対する営業利益の割合であり、本業により稼ぐ力を表す指標です。

売上原価・販売費及び一般管理費(以下「販管費」)を減らすことで、売上高営業利益率が高まります。

売上高経常利益率=(経常利益÷売上高×100):売上高に対する経常利益の割合を表す指標です。借入による資金調達等の財務活動も含めた、企業の日々の経営活動による稼ぐ力がどの程度あるかを表しています。

なお、各利益率の値が高いと収益性が高いといえます。

売上高利益率を用いて稼ぐ力を図る