まずはココから!M&Aによる事業売却提案の流れを押さえておこう【後編】
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2 主な事業承継の手法におけるM&Aの意義を知っておこう

図表1は「引退を決断した経営者の選択肢」を示したフローチャートである。M&Aによる事業売却のニーズを発掘するには、この流れを意識して経営者に声かけをしてみよう。

近代セールス
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後継者が確保できる場合は、後継者の属性により「親族内承継」と「親族外承継(第三者承継)」に分けられる。また、親族外承継には従業員に事業を承継させる「内部昇格」と、外部から経営者を招く「外部招聘(しょうへい)」がある。それぞれのメリット・デメリットは図表2のとおりだ。親族内承継・親族外承継のメリット・デメリットについて経営者と共通認識を持ち、後継者の確保に向けて一緒に知恵を絞ることも必要である。

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経営者が引退したくてもできない大きな理由の1つは、後継者問題にある。後継者が不在で引退を躊ちゅう躇ちょしている経営者には、本当に後継者が確保できないかを質問してみよう。すると「適切な後継者が見つからない」という理由以外にも「後継者候補の従業員に承継を断られた」などの理由が見えてくるはずだ。

従業員が承継を拒む大きな理由に、経営者の個人保証の問題がある。しかし、事業承継に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則や信用保証協会の特別保証制度など、事業承継時の経営者保証解除に向けた様々な制度が設けられている。後継者確保のサポートとして、こうした制度に関する積極的な情報提供を行いたい。

本格的なM&Aの提案をする前に、取引先の経営者に事業の引継ぎを打診してもらうのも1つの方法である。若い経営者が事業に興味を持って引き継いでもらえる例は、意外と身近にあるものだ。

M&Aは事業継続を目指す解決策の1つ