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取引先がなぜ・何のために事業を継続したいのかを踏まえて適切なM&Aスキームを提案する方法について、代表的なスキームの概要から見ていく。
①提案前にM&Aの代表的なスキームを知っておこう
M&Aによる事業売却を提案するには、まずM&Aの代表的なスキームを知っておく必要がある。そこで本稿では株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割、資本・業務提携の5つのスキームに関して、概要やメリット・デメリットにを解説する。
株式譲渡
株式譲渡とは、譲渡企業の株主が保有株式を譲受企業や個人等に譲渡する取引であり、会社の経営権を移転させる方法である。譲渡企業(の株主)・譲受企業(または個人)の双方で株式譲渡契約を締結したうえで譲受企業が代金を支払い、譲渡企業が株式を交付する。
株式譲渡のメリットは、手続きが簡便であること、オーナーを変更するのみですべての資産や取引上の契約を引き継げること、譲渡企業の法人格がそのまま存続するため対外的な見た目が変わらないことなどがある。シンプルで活用しやすいため、ほかのスキームに比べて中堅・中小企業のM&Aで活用されることが多い。
株式譲渡のデメリットは、譲受企業は譲渡企業のすべてを引き継ぐため、簿外債務や税金、社会保険の未納付など、想定外の簿外債務まで引き継ぐ可能性がある点だ。