担当者も知っておきたい!事業売却成約後の流れとフォローのポイント
(画像=Kritdanai/stock.adobe.com)

金融機関の営業店の担当者においても押さえておくべきM&A成約前後の流れについて、PMIを中心に解説する。

M&Aが成立した時点、つまりクロージング(最終契約に基づく決済)を迎えた時点で、譲渡側の株式や事業が譲受側に移転する。M&Aでは、主にクロージング後に行われる統合に向けた作業こそがM&Aの目的を実現させ、統合の効果を最大化するために必要である。この統合作業をPMI(PostMergerIntegration)と呼ぶ。

譲渡側の取引金融機関の担当者視点でも、PMIの一通りの流れを頭に入れておくと、譲渡側経営者のM&Aに向けた不安を払拭しやすいだろう。実際にITシステムをはじめとする各種統合や事業の成長・発展の過程で資金需要が生じる可能性もあるため、金融機関とPMIは無縁ではない。

中小企業庁では後継者不在等の中小企業を対象とするPMIの成功・失敗事例の分析等により、主に譲受側が取り組むべきと考えられるPMIの取組みを整理し、2022年3月に「中小PMIガイドライン」(以下、ガイドライン)を取りまとめた。以下ではガイドラインの内容を基礎として、PMIの概要について解説する。

PMIはM&A成立後のみに実施・検討すべき取組みと誤解されがちであるが、M&A成立前から準備することが望ましい。PMIのプロセスの概要は図表のとおりだ。それぞれ詳しく見ていく。

近代セールス
(画像=近代セールス)

①M&A初期検討