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かつての“偉い”融資課長は銀行にいないのか?
金融仲介機能を使命とする銀行にとって、企業分析の力量は重要な課題だ。分析の基礎を疎かにせず企業それぞれの理解を怠らない、プロの融資課長を育てるべきではないか。
筆者の手元に、1996年に近代セールス別冊として発刊された『融資課長の仕事』という本がある。平成バブル崩壊後の金融界を反映して融資業務の基本の大切さを説いている。
巻頭には「信用の根幹をなすものは矢張り人なり。故に苟も人物に疑いあらば、たとえ担保あるも、絶対的に信用を与うべからず」と、旧三十四銀行副頭取でのちに三和銀行取締役を務めた一瀬粂吉の著書『銀行業務改善隻語』の一節が掲げられている。プロローグの見出しはなんと「融資課長は〝偉い〟人である」だ。関西一の融資課長といわれた銀行員の逸話から、融資課長にとって基本がいかに重要か、そしていかに穏やかかつ冷静沈着に状況を見極めるべきかがよくわかる。