こんにちは、普段金融関連の研究職をしており、今回より寄稿をさせて頂くM.Oと申します。
どうぞ宜しくお願い致します。

私は普段、富裕層の子弟の教育について携わる機会があり、また、その相談を受けることがあります。
他の富裕層が子弟の教育に対して何を考えているのかは、参考となる点も多々あり、情報としての価値があるのではないでしょうか。

今回は、富裕層が重視する総合的な学力について、私が見聞きしたことなどをまとめたいと思います。

【参考】

加速する子女教育のグローバル化〜海外移住の新潮流 前編~
お勧め記事の紹介『「一生お金で苦労しない子が育つ」家庭のマネー教育』

◉富裕層の教育はゆとりが大事?


富裕層の教育は「ゆとり教育」である。

このように言うと、驚かれる方もおられるかもしれません。私自身、かなりミスリードを引き起こしかねない表現をしていると思います。
従って、直ちに付け加えなければならないのは、「ゆとり教育」といっても、ただ、学力面を軽視した教育というわけではないということです。

実際、あまり知られていないことですが、「ゆとり教育」は本来エリート教育を目指したものでした。
暗記をし、反復練習をするという狭義の学力形成では、優秀な子供の可能性を摘み取ってしまう可能性があります。そこで、生活の中で子供が持つ疑問や関心を、「自由に」問題解決するということで、非常に幅広い現象に対して、因果関係を知り、さらにその根底にある自然法則や学問的知識にアクセスすることで、深い知識に達する―――それが「ゆとり教育」の理念です。つまり、超高度なエリート教育なのです。

【参考】

富裕層を魅了するシンガポール~教育問題・言論の自由…その魅力の裏に潜む影~

◉専門家へのインタビュー〜家庭教育の重要性〜


現在でも教育大学の付属高校などでは、上記のような方針が取られています。
先日、そういった教育事情に詳しい方にインタビューをしてきた際の一部を抜粋します。

筆者:そうした教育は、普通の学力偏重教育と言われるような教育に比べて、本当に優位性があるのですか?

専門家:当然ありますよ。普通に暗記や反復練習だけでは、自分自身で企画をしたり、創造したり、という力は身につきません。

筆者:ですが、それは教えられるものなのですか?学校の制度で。

専門家:それはよくある勘違いですね。こうした総合的な教育をしていくためには、家庭の教育力が必要不可欠です。私自身、そうした教育制度で小学校生活を送りましたが、子どもの「自由な」教育というのは、親がものすごく時間と努力と工夫を注いだ結果なのですね。
学力は大人の関与なしでも頭のいい子なら育ちます。しかし、社会的知性は、周囲の大人が子どもの発想を全面的にサポートするからこそ身につくものです。子供に対する抽象的な課題も、親の関与を前提にしていて、教育力のない家庭では、対応できません。

筆者:つまり、「ゆとり教育」の場を通して、親から子へ知的資本や文化資本の伝達が行われるということですね。

専門家:まったくそのとおりです。教育力のない親には、そもそも、知的資本や文化資本がありませんからね。継承することもできないというわけです。