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米国の株価が、相変わらず絶好調だ。ここ1か月ほどは高値の記録更新が続くが、その理由をめぐり、欧米のエコノミストが持説を戦わせている。

米連邦準備理事会(FRB)の大規模な量的緩和(QE)が主因とする説、金融危機後に上向いた企業業績が主な原因とする説、金利低下によって債券保有者が株式に乗り換えていることが大きな要因とする説など、諸説入り乱れるなか議論が展開されている。


QEが主因とする説

マッキンゼー・グローバル研究所のスーザン・ランド研究員とリチャード・ダブス研究員などは、株価の好調がQEに起因しているとの説を、最近の論評で取り上げている。この「風が吹けば桶屋がもうかる」式の説明では、まずQEで金利が下がる。

これが、企業の借り入れ費用や金利支払いコストを下げる。それによって、企業収益が平均で5%上昇する。その結果、企業の株式の評価が上がり、株価全体の上昇につながる。

米国では10月に量的緩和第3弾(QE3)が終了したが、4兆ドルにも上るFRBの資産購入で金利は低いまま推移しており、「QE主因説」は有力な説明になっている。


金利低下による株式運用の優位性が主因とする説

一方、上記のQE主因説と「低金利」という出発点は類似しているが、「企業業績によって株価が上がったのではなく、低金利で債券運用のうまみが薄れ、投資家が債券市場から株式市場にマネーを移したことが、株価好調の原因だ」とする説もある。この考えを発表したのは、経済政策研究センターのディーン・ベイカー共同会長だ。

ベイカー氏は、「債券の利息収益や、他の利子を生み出す資産は、株式を保有することの機会費用(同じリスクレベルの別の投資機会から得られるであろう収益)だ。つまり、債券の利息収益という機会費用が低くなれば、投資家は株式の保有を選ぶようになるだろう。

これを裏付けるのが、米国だけでなく世界中で株価が順調に上げていることだ。だから、低金利が株価を上昇させる主因なのだ」と述べている。

また、「債券市場での低金利を作り出しているのは、米国経済の要因ではなく、日本と欧州の経済の弱さだ」との仮説を、『ニューヨーク・タイムズ』紙のFRBウォッチャー、ニール・アーウィン記者が紹介している。上記のベイカー説に当てはめると、「日欧経済の回復の遅れが債券市場の低金利となって表れ、債券市場から株式市場へのマネーの流れを作り出し、それが株価の好調を支えている」という構図も成り立つだろう。


格差拡大が主因とする説

翻って、英『フィナンシャル・タイムズ』紙の著名コラムニスト、ギャビン・デイビス氏は、米国内の経済格差の拡大が株価の好調を支えているという、興味ある説を紹介している。

それによると、「低いレベルで抑制された賃金は経済格差を拡大させ、貧困層や中流階級から富裕層に富を再分配する。これが米経済における総需要、特に消費需要の低下をもたらす。こうして下落した需要を刺激するため、政府は財政出動を、金融当局は低金利政策を行う。

しかし、赤字財政は長く続かず、財政出動は漸減し、金融当局への依存度が高くなる。その結果としての低金利の下、株価が上昇する」という流れが出来上がるのだという。


企業業績が主因とする説

最後に、株価が好調なのは企業業績が原因だとするのは、『ワシントン・ポスト』誌のロバート・サミュエルソン経済論説委員だ。

「歴史的な株価収益率で見ると、現在の株価は過大評価されていない。これは、QEによる株価バブルがなかったことを示す。では、何が株価を押し上げたのか。(近年、全体的にパフォーマンスの良い)企業収益だ」とサミュエルソン氏は分析している。

株価好調には、諸説ある。これらの仮説のさらなる分析が待たれるところだ。

(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

(ZUU online)

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