前回の記事で「機関投資家」から見た債券売買までの流れをお伝えしました。今回は「証券会社」から見た債券市場をお伝えしたいと思います。

機関投資家の場合、あくまで「運用」がメインだったので、各業者に債券の在庫の有無と価格を問い合わせながら売買をして、自分のポートフォリオのリバランスをしていくという流れは個人にも当てはまるところもあり、わかりやすかったかと思います。しかし証券会社の場合は基本的に「顧客の売買注文に合わせて値段を提示し、その中で利ザヤを抜く」ということをやっています。
どちらかというと短期売買を頻繁に繰り返しているようなイメージです。

今回はその概観を4つのステージに分けて紐解いていきます。

債権投資
(写真=PIXTA)

【債券投資の教室シリーズ】

債券投資の教室vol1〜証券会社の債券ビジネスのカラクリ〜
債券投資の教室vol2〜預金?国債?社債?個人投資家が知っておくべき債券の比較法〜
債券投資の教室vol3〜個人投資家にとって債券市場が身近でない3つのワケ〜
債券投資の教室vol4〜孫正義氏の辣腕とソフトバンクが発行した4000億円の「個人向け社債」〜
債券投資の教室vol5〜変動型個人向け国債が圧倒的に有利な3つのワケ〜
債券投資の教室vol6〜債券取引の現場、機関投資家が債券を売買するとき〜

①機関投資家に「オファーシート」という在庫と目安価格の一覧を配る


前回も説明しましたが、債券市場において証券会社は自ら在庫を抱えてそれを投資家に売ってまわるということをやるので、証券会社はある意味では「小売店」のようなものです。
なので、前日の夕方や朝一番に「オファーシート」と呼ばれる在庫債券とその参考価格一覧を各投資家に送ります。
ここで重要なのはあくまで「参考価格」であるということです。

当然ながら市場は常に動いているわけで、ちょっとした経済統計での予想外の数字が公表されたり、発行体の格付けや業績にサプライズがあった時などは当然ながら値段も変わるためです。

②機関投資家に売りさばいていく


オファーシート自体はディーラーが作成し、それをもとにセールスが各投資家にアプローチをかけていきます。

投資家によって買える債券買えない債券が内部ルールで決められていたり、あるいはポジションの偏り等もあったりするので、そういった投資家のニーズを察知しながら顧客に売買を薦めていきます。
そんな中で投資家から買いたいというニーズをもらえば、ディーラーにその時点での売値を確認し、顧客である投資家に伝えます。
前回もお伝えしましたが、債券は同じ銘柄であればほかの証券会社との差別化要因は基本的に価格しかないので、投資家もほかの証券会社に同時に売値の問い合わせをして最安値を探すケースが多いです。
それでディーラーの売値に投資家がOKを出せば、売買成立となります。

ちなみにディーラーは単純に割り当てられた資金枠に対する利益が評価の対象となりますが、セールスは「クレジット」と呼ばれる、ディーラーと決めるセールスがもらう手数料相当分の額のほかに、売買回数や売買金額が評価対象となるケースもあるようです。


③余った在庫や足りない債券の調整、リスクヘッジを「業者間市場」で行う


証券会社は債券を売ってばかりではなく、当然仕入れもしなくてはいけません。
売るものがなければ商売あがったりですからね。

もちろん、投資家の売買注文にこたえる形で在庫を増やしたり減らしたりしますが、自社対投資家の売買だけでは、場合によっては在庫が想定よりも多くなってしまったり、あるいは足りなくなってしまうこともあります。
そこで、在庫を適切に調整するために、証券会社同士が売買をし合って各々のポジション調整ができる場があります。それを「業者間市場」と言い、その名の通り業者、つまり基本的に証券会社しか参加できない債券マーケットがあります。

ここで在庫が多い債券は売り注文を出し、また足りない債券は買い注文を出していったり、またリスクヘッジでほかの債券銘柄を売買したりして、自分の持っているポジションの適正化を図っていきます。

ちなみに、この業者間市場においては特に国債などマーケット規模の大きいものについては電子取引と電話取引を並行しておこなわれています。主にロットの大きい売買は電話で、そうでないものは電子で、といったところでしょうか。
また、証券会社の中には顧客の注文を捌くことをメインとしているところもあれば、こうした業者間取引市場や債券先物市場を使って自己ポジションで売買を繰り返していく(プロップ・トレーディングとも言う)頻度の方が多い会社なども存在するようです。

④リスクヘッジなどで「国債先物市場」も活用する


債券は国債だけでも数百銘柄、社債なども含めると数千銘柄という膨大な数となり、中には流動性の低い(=売買したいときに、その相手が見つけられにくいため売買しづらい)銘柄も存在するため、必ずしも業者間市場だけでリスクヘッジなどができるとは限りません。

そんな時は「国債先物市場」で国債先物を売買してリスクヘッジとするケースもあります。
国債先物取引とは、クーポン6%、満期10年といった条件の仮想債券を売買する取引のことで、細かい説明は省略しますが、概ね残存7年程度の国債利回りと値動きがリンクするような設計となっています。
これだと1日当たり2兆円程度の売買高があり、ヘッジ取引に重要視される「流動性の高さ」が確保されているため重宝されています。そのため買いポジションを取りすぎたという場合には、国債先物で一部売りポジションを保有することでリスクヘッジを図っています。

以上、証券会社の債券売買の仕組をお伝えしました。

ヘッジ取引のところにはほかにもレポ取引やスワップ取引の駆使など様々な要因があったりするのですが、今回はあくまでわかりやすさを重視してシンプルなケースで説明しました。
短期売買ばかり繰り返してはたして儲かるの?という疑問もあるかもしれませんが、ゴールドマンなどの決算に関する報道等をご覧いただければわかるかと思いますが、債券フロント部門は各証券会社の収益の大きな柱になっています。

そのあたりの細かい話などはまた機会があるときにでもお伝えできればと思います。

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