【米国現地レポート】2015年はTPP正念場の年…本気で動き始めたオバマ氏と共和党

2015年は、過去数年にわたって停滞していたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉が大きな進展を見せる節目の年になる。2014年の中間選挙でのTPPを推進する共和党の圧勝を受け、「選挙で自由貿易が勝った」と言われるように、米国の財界とオバマ政権が本気を出し始めたからだ。TPPを推進する財界団体代表のキャル・コーエン氏も、「新年の抱負は、TPP交渉の妥結と議会の承認だ」と述べ、鼻息が荒い。

TPPを2015年に前進させる具体的な動きは、次の通りだ。まず、通商問題を審議する上院財政委員会の新委員長には共和党のTPP推進派、オリン・ハッチ上院議員が内定した。下院は共和党ががっちり押さえた。オバマ政権は反対派議員を説得するため、従来のマイケル・フロマン米通商代表に加え、ジャック・ルー財務長官、ペニー・プリツカー商務長官、トーマス・ペレス労働長官などの閣僚を直々に派遣して説得工作を強化している。

ピーターソン国際経済研究所のギャリー・ハフバウアー上席研究員は、TPPの交渉や承認が次の理由から大きく進展すると見ている。まず、(1) TPPに抵抗してきた民主党のハリー・リード上院院内総務が推進派のミッチ・マッコーネル上院議員にその職務を譲ること、(2)オバマ大統領とTPPで協力することで、共和党が「駄々をこねる信頼できない政党」のイメージを払拭したいこと、(3) 大統領2期目で無力化した「レイムダック」になったオバマ氏が、何らかの功績を残したいと焦っていること。

だが、交渉や議会工作が進展するにつれ、米国内の抵抗も強烈になろう。具体的には、貿易が米労働者の職を奪い、賃金を引き下げ、多国籍企業のみを肥えさせると主張する民主党左派や労働組合が声を大きくしていく。特に労働組合はオバマ大統領に対し、「共和党議員と貿易問題でねんごろになりすぎた場合、オバマ大統領の他の政策の遂行を妨害する」と公言しており、オバマ氏は慎重にならざるを得ない。