東京都教育委員会による「平成30年度公立学校統計調査報告書」によると、2018年の公立小学校卒業生における私立中学校への進学率は18.0%で、前年度より1.1%上昇と、年々増加傾向だ。近年報道にもあるように、教育者の質の低下も懸念材料となり、教育に関心のある富裕層の私学への期待はますます高まるばかり。一方で、「日本でしか通用しない能力・知識ばかり身につけても仕方ない」と、海外での教育に期待を寄せる層もますます増えているようだ。中には、子どもの教育のために一家揃って教育水準の高い国に移住する家庭もあるとのこと。

教育を受けることは等しく認められた日本人としての権利だ。しかし、教育の質をより広いレンジから選択するには、ある程度の金銭的余裕が必要なのも事実である。日本企業の英語公用語や、留学生の積極採用など、日本国内の「国際化」が活発になり、グローバリズムが叫ばれて久しい現在、世界で通用する能力をもった子どもにするためには、どのような教育を選択することが必要なのだろうか。

目次

  1. 国内での教育に限界を感じた富裕層がまず検討するのが海外留学
  2. 国内留学で感覚を磨く〜インターナショナルスクールという選択肢〜
  3. これからの「国際人」とは?

国内での教育に限界を感じた富裕層がまず検討するのが海外留学

OECDによるデータでは、2015年の日本人海外留学生の人数は5万4676人。2004年の8万2945人をピークに減少傾向にあり、毎年5%を越える減少率となっている。 ちなみに、留学者数の多い国は順にアメリカ合衆国、中華人民共和国、台湾だ。 少子化やリーマンショック以降の経済状況の悪化による現象が主な原因とも考えられるが、平均的な欧米の4年制大学に通うためには、学費だけで700万円〜1000万円と言われており、高額の留学費用を出せる家庭はなかなかないだろう。

また経済的理由以上に、
・入学するよりも卒業するほうが数倍大変な欧米の大学のシステム
・母国語ではない環境での単位の取得の困難さ
・さまざまな言語を母国語とする人間関係の構築
・物理的距離、スケジュールなどの点から日本の企業への就職が困難

などの理由によりドロップアウトしてしまう学生が多いことも、その理由として挙げられる。

その一方で、日本ではなかなか身につかない「公の場でアピールする積極性」や、異文化、コミュニケーション能力の向上も海外留学のメリットとしては魅力的だ。親元を離れ、異国の地で数か月〜数年の単位で暮らすことで、自立心を養うこともでき、家族の大切さ・絆を再認識できる、というプラス面もある。

国内留学で感覚を磨く〜インターナショナルスクールという選択肢〜

インターナショナルスクールといえば、日本国内在住の外国人の子女が通うというイメージのだが、最近は教育現場の変化が後押しとなり、日本人の一般の子どもにも門戸が開かれているスクールも多く存在する。

長野県軽井沢町に2014年開校のインターナショナルスクール「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」をみてみよう。その設立趣旨に『人の才能は、勉学の中でだけ見つかるものとは限りません。そして、社会で頭角を表すために必要とされるのも頭脳の明晰さだけではありません。自分の独創的なアイディアを周囲に伝えて実現したり、異なる意見をきちんと咀嚼してまとめたりするには、総合的な人間力が問われます』と説明されているように、文化や宗教・経済などの人間のバックグラウンドとなるものは、机上の勉学だけでなく、体験を重ねないと蓄積されていかないものなのだ。

このスクールは全寮制ではあるが、日本国内にいながらにして、海外留学のメリットも享受できるインターナショナルスクールという選択は、かなり魅力的といえるだろう。

ただ、一つ気をつけなければならない点として、インターナショナルスクールは、日本の学校教育法に定める学校ではないため、小中学校において義務教育を履行していないと認定される場合がある。またスクールによっては、インターナショナルスクールの高校を卒業しても、大検を受けないと大学受験資格を得られない場合もある。

これからの「国際人」とは?