ブルーオーシャンのソフトウェアテスト業界…多分野でのオリンピック需要見込む


「ソフトウェアテスト」が企業戦略の重要事項へ

ふだんあまり意識しないが、私たちは常に膨大なソフトウェアと共に生きている。今や身の回りのあらゆるサービスやツールにソフトウェアが組み込まれている。ふだんは目に見えないソフトウェアの存在を顕在化させるのが、時折メディアを賑わせる「ソフトウェアを起因とする品質事故」だ。記憶に新しいのは、2014年6月に起こったJALの国内線大量欠航だろう。

これは、各地の空港とJALを結ぶ運航管理システムの一部に潜在的なバグがあったことが原因で発生し、計174便・約14000人に影響を及ぼした。また、2011年3月に発生した、みずほ銀行のシステム障害も記憶に残る出来事だろう。大量データをまとめて処理するバッチ処理に不備があり、3連休中、すべてのATMが停止した。こういった「ソフトウェアを起因とする品質事故」が、企業信頼性に多大なダメージを与えることへの理解が広まり、リリース前に問題箇所を検証する「ソフトウェアテスト」が、企業活動の中でより重要度を増している。


IT産業の3分の1近くを占めるソフトウェアテスト市場

もちろん、これまでも多くの企業が、ソフトウェアの問題によって顧客の信頼を失うリスクを避けるため、多額の費用を投入してテストを行ってきた。それを示すのが次のデータである。平成25年度情報通信業基本調査によると、国内のソフトウェア開発産業の市場規模は約11.6兆円のうち、3分の1近くの約4兆円をソフトウェアテスト市場が占めているとのことだ。

なぜ、ここまでソフトウェアテスト市場の割合が高いのかといえば、新たに開発されたものはもちろん、バージョンアップ時や改修時にもテストが必要となるからだ。過去に開発されたソフトが蓄積されるほど、市場規模が拡大する流れとなっており、ソフトウェアテストに対する需要が今後、ますます高まることは間違いない。

これだけ将来性がある分野にも関わらず、ソフトウェアテスト市場は認知が高いとはいえない。この原因は、国内のソフトウェアテストが「開発者自身によって」または「海外の子会社や事業部などのオフショアによって」行われているからだ。クローズド環境でテストが行われることにより、第三者の厳しいチェック機能が働かないというデメリットがある。これは国内でソフトウェアを起因とする品質事故が相次いでいる一因とも考えられる。


オフショアよりもアウトソーシングの方がコスト面で優位

さらに、「ソフト開発のコスト増」もクローズド環境のテストの弊害である。一見すると、人件費の安い海外拠点でのオフショアによるテストはコストを圧縮するようにも感じられるが、実はかなりの「コミュニケーションコスト」がかかっており、アウトソーシングに対してコストパーフォーマンス面での優位性がない。

オフショアでのテストでは、「テストを実行する現地スタッフ」と「日本企業の担当者」との間に外国語とSEのスキルを持つ「ブリッジSE」が入ることが多い。このような高度なスキルを持つ人材は、人件費が高く、結果的にコストを押し上げてしまうのだ。

それにも関わらず現時点では、ソフトウェアテスト市場4兆円のうち、国内へのアウトソーシングは約1%しか進んでいないのが実状だ。


ブルーオーシャン市場で確固たる地位を築いたSHIFT

アウトソーシング率の低い「ブルーオーシャン市場」にいち早く着目し、この分野で確固たるポジションを確立しているのが株式会社SHIFT <3697> である。現在、約500人のテストエンジニアを抱え、この分野のトップランナーとして「ソフトウェアテストのアウトソーシング市場」を開拓し続けてきた。取引先には、IBM、SBI証券、ワークスアプリケーションズ、NTTデータ、LIXIL、DeNA、楽天、mixi、Yahoo!JAPANなど幅広く、各業界大手が名を連ねている。

この経験から現在では約20万件の不具合データベースを蓄積。年間約1000件のプロジェクトを担当し、取引先には大手のIT企業や通信企業が名を連ねる。特にエンタープライズ向けのソフトウェア開発企業に強いといわれ、今や日本のみならず、海外へ「Made in Japan品質」のソフトウェアテストを発信しようという勢いだ。


「サイバー攻撃対策」「東京五輪」を追い風に市場拡大

今後のソフトウェア市場を拡大させそうな要因が2つある。それは、「官公庁の情報セキュリティ強化」と「東京オリンピック」である。これと合わせて、先に述べたソフトウェアテストのアウトソーシングの優位性を理解する企業が増えれば、SHIFTを中核とするアウトソーシング市場の躍進につながるだろう。2014年11月6日、政府のサイバーセキュリティ戦略の基盤となる「サイバーセキュリティ基本法」が衆議院本会議で可決された際に、セキュリティ関連銘柄が相場を賑わせたのは記憶に新しい。

政府予算の情報セキュリティ分野の予算は増加傾向にある。内閣官房情報セキュリティセンター「政府の情報セキュリティに関する予算」によると、平成26年度の情報セキュリティ分野の予算は約542億円で、前年度よりも300億円以上増加することが分かる。平成27年度の予算概算要求では一旦約367億円に減少したものの、近年、増加する政府機関に対するサイバー攻撃対策が急務なこと、東京オリンピック開催に合わせて、サイバー攻撃対策の充実が必須なことを踏まえれば、予算は伸びる可能性がある。

東京オリンピック開催に伴う、各分野の活性化もソフトウェア市場にとって大きなプラスである。みずほ総合研究所が2013年に発表した「2020東京オリンピックの経済効果」によると、直接的な効果として会場建設などと共に大会運営の支出として「情報システム」があげられている。

また、付随的に生じる効果として、公共・交通インフラ整備の加速、ホテル・商業施設のリニューアルなどが網羅されている。これらには、大規模なソフトウェアが必要であり、海外からの観戦客が利用するものだけに精度の高いソフトウェアテストが必要であろう。

東京オリンピック開催を通して、日本文化の価値やホスピタリティをPRしようという声がよく聞かれるが、「Made in Japan品質」のソフトウェアテストをPRするのにも格好な場である。各企業がアウトソーシングサービスを積極利用することで、精度の高いソフトウェアテストを行い、大きなトラブルなく東京オリンピックを成功させることを期待したい。