米雇用統計
(写真=Thinkstock/Getty Images)


雇用は引き続き堅調

米労働省が6日に発表した2月の雇用統計によると、雇用環境の改善が続いていることが判明した。景気動向を反映する非農業部門の雇用者数は前月から29.5万人増加し、持続的な雇用回復に必要とされる20万人を12カ月続けて上回った。1993年9月から1995年3月までの19カ月連続に次ぐ長さである。

1月分は速報値から下方修正されて23.9万人となったものの、昨年12月分は変わらず、3カ月平均は28.8万人。昨年同時期の15.4万人の倍近くになり、雇用の拡大が伺える。業種別では、製造0.8万人、小売3.2万人、専門職5.1万人、教育・健康5.4万人、レジャー・接客6.6万人と、割合の大きい分野を中心に幅広く雇用者が増えており、これが全体の好調さにつながっている。

失業率は5.5%となり、前月よりも0.2ポイント改善した。リーマンショック前の2008年5月に記録した5.4%に近い、6年9カ月ぶりの低水準。1月は、景気回復を受けて就職活動を再開した人が増えたものの、その人たちが調査時点で職に就けず失業状態だったため、失業者数が29.1万人増え、一時的に失業率が5.7%に悪化していた。2月はその人たちが就職して失業状態を脱したため、失業者数が27.4万人減少し、失業率は5.5%に改善。つまり、30万人近い人々が1か月間で仕事を得られ、今回の結果につながったといえよう。

なお、労働人口(=就業者数+失業者数)は17.8万人減ったものの、それはこうした失業者の職場復帰による所が大きく、悪い傾向ではない。総じて、今回の失業率低下は、失業者が減ることによる望ましい形での改善であり、堅調な雇用を表している。時間当たりの平均賃金は24.78ドルで、前月より0.03ドル上昇。1月よりは減速したものの、2カ月続けてのプラスであり、雇用に加え賃金もよい傾向だ。


好景気の持続が雇用に影響

米国の景気は堅調さを維持しており、サプライマネジメント協会(ISM)による2月の景況感指数を見ると、製造業は52.9%、非製造業は56.9%と、ともに景況感の分かれ目である50.0%を超えている。

確かに、個人消費や住宅投資、設備投資は減速傾向に入ってきており、中長期的に見れば、企業は人を多く雇う余裕はなくなっていくだろう。だが、雇用は景気に遅れて動く傾向にあり、現状ではそうした需要を取り込むために、企業は採用を増やしている模様。そのため、就業者数増加と失業率改善につながっているようだ。


FRBの利上げに伴う雇用悪化の可能性

労働市場は、今後しばらくは拡大し続けていくであろうが、いずれ縮小していくのではないか。昨年10月に量的緩和を終了して以降、引締め効果が徐々に表れ、消費や投資は減速しつつある。個人消費支出は前月比で昨年12月にマイナスへと転換し、1月も低迷。住宅着工件数も、3カ月後方移動平均で減速傾向にあり、1月は-0.7%と減少に陥ってしまった。製造業新規受注額は8月~12月まで縮小が続く。ISM景況感指数の新規受注も、製造業は昨年11月から下落しており、非製造業は2月に再び低下。このように、消費や投資が振るわなくなってきた。

その結果、同指数の雇用も、昨年10月から今年2月にかけて、製造業は55.2%から51.4%、非製造業は58.3%から56.4%へと悪化している。今後事実上のゼロ金利政策が解除となり利上げされると、一層引締め効果が強まり、この減速傾向も強まるだろう。そうなると、時期を置いて雇用者数も減り出し、失業率も再び上昇していく可能性が高い。

3月17~18日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれるが、雇用を含む好調な景気動向を受け、利上げ時期を前倒しする判断がなされる可能性も出てきた。もちろん、FRB(連邦準備制度理事会)や政府は雇用環境が急激に悪化しないようにコントロールしていくであろうし、そうすることが期待される。

(ZUU online)

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