米消費者物価指数
(写真=Thinkstock/Getty Images)


原油安一服と幅広い値上がりで物価上昇

米国労働省が3月24日発表した2月の消費者物価指数(コアCPI)を見ると、物価はやや改善の兆候が伺える。全品目を含む総合では、前年比で0.0%と2カ月ぶりにマイナスを免れ、季節調整済みの前月比で+0.2%と4カ月ぶりに上昇に転じた。

食品が+0.2%とアップしたのに加え、エネルギーも+1.0%と8カ月ぶりにプラスに転換。特にガソリン価格が1月の-18.7%から2月は+2.4%へと好転し、全体の押し上げに貢献している。昨年後半以降続いてきた原油安が一服したことが影響している模様。

こうした変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアでも、前年より+1.7%の伸びを示し、前月からも+0.2%押し上げられるなど、ともに基調の変化はない。新車+0.2%、中古車+1.0%、衣料+0.3%、医療ケア製品+0.7%など幅広い品目で底上げされ、サービス全体でも+0.1%と上向きが続く。

このように、経済の好調さに加え、原油価格の下げ止まりを反映し、物価は概ね望ましい方向に動いているといえよう。


良好な流れにあるも足元での懸念が残る

消費者物価は前年に比べれば良い傾向が見られる。FRB(米連邦準備理事会)は物価上昇率について、PCE(個人消費支出)デフレータで前年比2.0%を目標としている。

そのため、消費者物価指数の上昇率も2.0%程度が望ましく、その実現に向けて金融政策が行われるため、物価急落の恐れは低く、実際にコアで1%台後半は維持できている。

また雇用や所得が堅調なため、個人消費や住宅投資も対前年では概ね増大が続き、生産も拡大しており、需給関係の締まりも物価上昇に寄与しているようだ。

しかし、それでも前月に比べた足元の動きでは不安が残る。FRBは量的緩和終了以降マネタリーベースの増加ペースを落としており、2月は前月比-3.8%と減少。これにより金銭の価値が上がり、消費や投資より貯蓄が促され、物価の下落要因となっている。

そうした金融引締で、足元では消費や投資及び生産に減速が見られ、需給の緩みで物価上昇率が落ちてきている。個人消費支出と鉱工業生産指数は昨年12月と今年1月、住宅着工件数(3カ月後方移動平均)は年明け以降、各々マイナスに転落。コアインフレ率も昨年5月の2.0%から今回2月の1.7%へと伸び率が低下。このように、需給悪化で物価がやや停滞気味だ。


注目すべきはFRBの利上げ

消費者物価は当面緩やかに伸びてゆくであろうが、FRBの利上げ動向によっては減速しかねない。

底堅い雇用と所得で、しばらくは消費や投資、生産が大幅に落ち込む可能性は低い。FRBも物価上昇率が2.0%を下回る現状では、すぐに利上げはし難いだろう。そのため、差し当たりコアで1%台後半は維持するのではないか。

加えて、原油安の流れが収まり値上がりすると企業の調達コストがかさみ、それが販売価格に転嫁されれば総合でもコアが2.0%に近づいていく。

ただ先述のように、足元では景気減速を示すデータが出始めている。既出の指標に加え、ISM製造業景況感指数でも、昨年11月から今年2月にかけ、全体で57.6から52.9、需要関連の新規受注で62.1から52.5、供給関連の生産で62.6から53.7へと悪化。

いずれも好調さを示す50は超えているが、傾向としては懸念が残り、インフレ率の低下につながりかねない。これにFRBによる利上げが加われば、物価はさらに低迷していく。

もちろんFRBも雇用最大化と物価安定に責任がある以上、そうした懸念がないよう金融政策を実施するに違いない。今年1月の連邦公開市場委員会(FOMC)でイエレンFRB議長も、政策金利の誘導目標引上げについて、労働市場のさらなる改善と中期的なインフレ率目標2.0%達成を前提とする趣旨を述べている。

今後もFRBによる利上げの時期、米国内の需給関係、原油価格の動向に注目しなければならない。(ZUU online 編集部)

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