デフレ脱却

(写真=Thinkstock/Getty Images)


短観中小貸出DIがとうとう前回のピークを突き抜けた

1-3月期の日銀短観大企業製造業業況判断DIは+12(コンセンサス+14)と、昨年10-12月期の+12から変化がなかった。消費税率引き上げの駆け込み需要で昨年1-3月期に+17に上昇した後、3四半期連続で+12前後で推移している。デフレ完全脱却前に拙速であった消費税率引き上げによる景気下押しに何とか耐えて、企業の景況感の底割れが回避されていることが確認できた。

10-12月期時点の予測DIが+9への悪化となっていたことを考えると、この数ヶ月での景況感の改善は大きなものであったと考えられる。4-6月期の先行きDIは+10と再び小幅な悪化の予想になっている。

しかし、景況感改善へのおもしであった消費税率引き上げの景気下押しや輸出の伸び悩みがもたらした在庫調整は一巡してきている。日銀の追加金融緩和もあり円安と株高が進行してきた。輸出数量もとうとう増加を始め、生産活動も持ち直していることが確認された。

2015年度のドル・円の想定レートはまだ111.8円であり、円安が企業収益を更に押し上げることになる。4-6月期のDIは米国経済の持ち直しと賃金上昇による内需の拡大などにより、今回と同様に結果は上振れ、+12を上回り、上昇トレンドが明確になると考える。

1-3月期の大企業非製造業業況判断DIは+19(コンセンサス+17)と、昨年10-12月期の+17から若干改善した。更に進行した円安は、輸入コスト増加により非製造業の業況感には下押し圧力となる。まだ消費のしっかりとした持ち直しが確認できていないため企業には不安感が残っている。

しかし、不動産、小売、対個人サービス業などの業況感の改善は強く、消費税率引き上げの景気下押し圧力をうけても、内需が堅調に回復していることが確認された。4-6月期の先行きDIは+17と強くない。しかし、春闘などでの賃金上昇が鮮明となり、株式や不動産などの資産価格上昇の好影響が、徐々に消費回復のつながってくると考えられる。4-6月期のDIは改善すると考える。

雇用判断DI(マイナス=不足)は、非製造業(-24、前回のボトムは-14)だけではなく、海外への生産拠点の移転が進行してきた製造業(-8、前回のボトムは-7)までも雇用不足感が強くなってきている。内需の動向を最も敏感に反映すると重要視している中小企業金融機関貸出態度DIは1-3月期に+15と、10-12月期の+14(短観調査対象企業の定例見直しにより+12から上方修正)から更に改善した。

この通常国会でまとめられた中小企業対策を含む景気刺激策の効果も徐々に出てきていると考えられる。DIは失業率にきれいに先行する指標である。DIの改善に従い、失業率が自然失業率とみられる3.5%を明確に下回り、強い総賃金の拡大がデフレ完全脱却への実感につながっていく動きは順調だ。

前回のサイクルのピークである+12をとうとう明確に上に突き抜け、今回のサイクルが前回と比較しデフレ完全脱却へより強い動きとなっていることが確認できた。短観の結果は10-12月期から大きな変化はなく、デフレ完全脱却へ順調な足取りを示していると認識され、日銀の早期の追加金融緩和の可能性は小さいと考える。

追加金融緩和は、物価上昇の年後半の持ち直しが弱く、「2015年度を中心とする期間」に2%の物価安定の目標の実現が困難であることを確認することになるとみられる10月と予想している。

短観は内需中心のしっかりとした回復を示しており、もし昨年4月の消費税率引き上げがなければ、現段階でデフレ完全脱却を宣言できたかもしれないと思うと悔やまれる。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

(ZUU online 編集部)

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