米雇用統計
(写真=Thinkstock/Getty Images)

米労働省が3日に発表した3月の雇用統計によると労働市場は堅調ながらも足踏み状態にあることがわかった。

景気動向を反映する非農業部門の雇用者数は前月から12.6万人増にとどまり、回復目安の20万人を13カ月ぶりに割り込む。前月まで、1993年9月~1995年3月の19カ月連続に次ぐ長さで20万人超えを達成してきたが、それも途切れる。市場予想平均の24.5~25.0万人増も大幅に下回った。

過去分も、1月は23.9万人から20.1万人、2月は29.5万人から26.4万人に下方修正され、それに伴い3カ月平均も19.7万人へと落ち込んだ。

業種で見ても、2月から3月で、製造:+0.2→-0.1、小売:3.2→2.6、専門職:4.2→4.0、教育・健康:5.7→3.8、レジャー・接客:7.0→1.3と減速が伺える。特にドル高による輸出減の影響を受けた製造業、寒波などの天候不順が響いたレジャー・接客業の悪化が目立つ。

失業率は前月及び市場予想と同じ5.5%で、金融危機前の2008年5月(5.4%)並みの低水準を維持。前月同様、就職できた人が増える一方、職に就けない人が減るという望ましい状況が続く。ただここでも、2月から3月にかけて、就業者は+0.06%から+0.02%と伸び率が鈍化し、失業者は-3.05%から-1.49%と改善幅が縮小しており、懸念が残る。

週当たり平均労働時間は34.5時間で0.1時間減ったのに対し、時間当たり平均賃金は24.86ドルで+0.3%と上昇。すなわち、働く時間が短くなる中で平均時給が上がったため、労働者にとっては好ましい状況といえよう。傾向としても、労働時間はさほど変わらない中で、賃金は概ね改善が続いている。

このように、雇用は堅調ながらも足踏みが見られる一方で、賃金はよい流れが定着していて、好景気の後半に差し掛かっていることが伺える。


金融引締めの方向に加え、原油安や天候不順が響く

労働市場は景気に遅れて動くため、引き続き堅調ではある。失業率は先述の通り5.5%と低位推移。ISM景況感指数の雇用も、製造業・非製造業ともに、直近月までで景況感の分かれ目の50と同等以上で良好だ。

ただし、昨年後半以降は減速が否めない。量的緩和終了以降景気の引締め効果が出てきて、内需に陰りが見え始めた。昨年10月から今年2月で、個人消費支出は+0.4%から+0.1%へとペースダウン。住宅着工件数(3カ月後方移動平均)は+0.2%から-3.5%へと悪化。製造業新規受注額(航空機を除く非国防資本財)に至っては、昨年9月からマイナスが続く。

日本の追加金融緩和による円安と合わせてドル高になり、輸出は昨年11月以降4カ月減少から抜け出せていない。

こうして内需と外需ともに縮減してきたことで、企業も採用を徐々に見合わせているようだ。上述の非農業部門雇用者数が、昨年11月の+42.3万人から今年3月の+12.6万人へと伸び率が鈍化していることがそれを物語る。

この基調に、昨年後半からの原油安が加わり、石油関連産業でリストラが進む。さらに冬場は寒波による大雪などで経済活動が停滞し、建設、レジャー・接客における就職も困難となった。つまり、金融引締めや原油安といった流れに、天候等の一時要因も重なり、労働市場は低調になっているのだ。


利上げ時期が遅れる可能性も

今後も低い失業率を確保しながらも、緩やかに雇用が逓減していくのではないか。

既出の通り、ISM景況感指数の雇用は50以上で好調を維持してはいる。ただ昨年10月から、製造業は55.2から50.0(3月)、非製造業も58.3から56.4(2月)へと下落。特に非農業部門の中で就労者数は、製造業は8.7%にとどまるが、非製造業(サービス業全体)は70.6%を占めており、後者の悪化は全体に大きな悪影響を及ぼす。

3月のFOMCでイエレンFRB議長は、6月以降の利上げの可能性を否定しなかった。だがFRBには物価安定とともに雇用最大化の責任もあるため、労働市場の減退の流れが定着して来る場合は、利上げの時期を遅らせる可能性もありそうだ。(ZUU online 編集部)

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