米生産物価 ThinkstockPhotos-83404071

(写真=Thinkstock/Getty Images)

3月の米生産者物価は原油安一服で反転したものの、減速傾向に概ね変わりはない。今後FRBによる利上げや原油価格の動向次第で、この流れが悪化しかねない。金融政策と原油市場の動きに注目が必要だ。


一時的な上昇を除けば減速基調

米労働省発表の3月生産者物価指数(PPI、最終需要向け製品・サービス、季節調整値)は前月から0.2%の上昇となった。市場予想(0.2~0.3%)とほぼ一致し、5カ月ぶりにプラス転換した。価格変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数も0.2%アップし、3カ月ぶりに押し上げられた。全体・コアともに久々にマイナスを脱する良い結果となっている。

肉類で-0.6%、材木で-2.6%と下落が続いたものの、自動車は1.9%、医薬品は0.9%と上昇を維持した。また原油安一巡でガソリンも7.2%と上向き、エネルギー全体でも1.5%伸長。その結果製品全体で0.3%伸びて9カ月ぶりに改善した。サービスは悪化が目立つものの、入院治療や航空貨物輸送が伸び、全体でも0.1%上がり3カ月ぶりに好転した。元から伸びていた品目に加え、足元で数カ月ぶりに上向いた項目が重なり、全体の改良につながったようだ。

ただ、昨年10月から3月の平均値を見ると、コアで-0.02%と低迷している。これに食品の-0.5%とエネルギーの-3.6%が加わり、製品全体では-0.8%に落ち込む。サービスの0.1%を考慮しても、全体では-0.2%と下落を免れない。

つまり、3月の一時的な改善を除けば、基調としては決して良いとは言えない状況だ。


内需減速と原油安がマイナスに作用

こうした物価の低迷は、内需縮小と原油価格下落が影響している。

FRBは昨年10月の量的緩和終了以降マネタリーベースの増加ペースを落としているが、これにより金銭の価値が高まり、消費や投資より貯蓄が促されるため、物価は下落方向に傾く。


実際そうした金融引締めで消費や投資は減速しており、内需低迷でインフレ率は低下。個人消費支出(PCE)は8月の0.6%から2月は0.1%に減速しており、住宅着工戸数(3カ月後方移動平均)は年明け以降反落した。航空機を除く非国防資本財受注額は9月以降減少。そのため前年比で、コアPCEデフレーターは5月の1.52%から2月は1.37%に落ち、コアPPIも2.1%から3月は0.9%にダウンしている。

これに昨年後半からの原油安が加わり、エネルギー関連価格が底割れし続け、全体の低迷に拍車をかけている。同じく対前年で、総合PCEデフレーターは7月の1.57%から2月は0.33%へと押し下げられ、総合PPIも1.9%から3月は-0.8%へと悪化している。

雇用や所得がまだ堅調で消費や投資の余力は残っているため、物価も小売段階のコアで上昇傾向は維持できており、それが卸売段階でも効いている。それでも、金融政策の転換と原油市況の停滞の影響が表れてきているのが現状だ。


利上げと原油価格に注目

上述のように、金融政策が内需、ひいてはコア物価に大きく関わるため、FRBによる利上げの動向に着目しなければならない。利上げの影響を懸念してか、ISM景況感指数を見ると先行き不安が伺える。10月から3月にかけて、景況感は製造業が57.9から51.5、非製造業が56.9から56.5へと下落。価格も各々、53.5から39.0、52.8から52.4へと低下。こうした意識が現実のインフレ率低迷に拍車をかける恐れもある。

また総合ベースでは特に原油価格の動向に目を配る必要がある。中間需要向け価格は1月から3月で、加工品が-2.8%から-0.1%、非加工品が-9.4%から-1.7%へと下落幅が縮小するなど、今後の最終需要向け価格の上昇を感じさせる。

一方で、原油安の影響が後ずれで効いてきて、当面は物価が下がる可能性が否定できない。3月に原油価格が反落していることも加わり、再び中間需要向け価格が下がり、それが最終需要向け価格に波及するかもしれない。

このように、利上げが内需とコア物価にどう影響し、原油市場が総合物価にいかに作用するのかをよく見ていく必要がある。(ZUU online 編集部)

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