消費者物価
(写真=Thinkstock/Getty Images)

3月の米消費者物価は、緩やかな消費の伸びと原油安一服に支えられて上昇を継続した。ただ今後は、金融引締めによる消費低迷と原油価格再下落などで、インフレ率が下がる懸念もある。利上げと原油市況の動向がポイントだ。


2月に続き原油安一服と幅広い値上がりで改善

米国労働省が発表した3月消費者物価指数(季節調整値)は、全品目を含む総合で前月から0.2%上昇し、2カ月続けてプラスを維持した。食品は-0.2%と下落に陥ったものの、エネルギーが1.1%と前月より上げ幅が拡大。特に2月から3月にかけて、ガソリン価格が2.4%から3.9%、燃料油が1.9%から5.9%と伸び率が大きくなり、全体を押し上げている。昨年後半以降続いてきた原油価格下落のペースが落ちていることが奏功した模様だ。

これら変動の大きい食品及びとエネルギーを除いたコアも0.2%の伸びを示し、物価の上昇基調は続いている。製品では、新車の0.2%は2月と同じ伸び率で、医療品は上げ幅が縮小したものの、中古車の1.2%と被服の0.5%は各々0.2ポイント増大となった。サービスでも、医療サービスが0.4%アップして2カ月ぶりに反転し、帰属家賃・宿泊費も0.3%伸長となった。

つまり、依然景気が底堅いうえに原油安が一巡したことで、概ねインフレのトレンドが持続しているといえよう。


消費は減速してもCPIへの悪影響は小さい

昨年10月の量的緩和終了後に景気が減速してきたものの、遅れて動く雇用や所得はまだ堅調で消費余力・意欲は残っていることから、コア物価も上がり続けている。

それを示すものとして、去年1~9月と10月~2月(又は3月)について、平均値の変化を見てみよう。

マネタリーベースが1.1%から0.1%へと減速したのに伴い、個人消費支出も0.3%から0.1%へと伸び率が縮小し、鉱工業生産指数は0.39%から0.01%とそれ以上に低迷。つまり、金融引締めの方向になって経済活動は停滞し始めた。それでも、非農業部門雇用者数は23.8万人増から26.1万人増へと加速し、個人所得も0.38%から0.40%へと増加ペースがアップした。

さらに、元々消費は生活に密着していて早期に大きく落ち込むことはなく、供給以上に需要が伸びる状態にあったため、コアCPIも0.1%から0.2%へとより上昇している。このように、マネーが絞られ景気に陰りが見え始めても、生活にまだ余裕があり消費への影響が少なかったことから、マイルドなコアインフレも確保できていたようだ。

ただ、原油価格が-0.5%から-10.1%へと下落幅が増大し、ガソリンや灯油などが値崩れした。その結果、そうしたエネルギーと食品を含む総合では0.1%から-0.1%へとマイナスに転落した。

すなわちトレンドとしては、景気の底堅さでコアインフレは持続しているが、原油市況悪化で総合では物価が押し下げられているといえよう。


利上げと原油市況の動向に要注目

今後当面はCPIも緩やかに上昇していく可能性が高い。FRBは雇用最大化と物価安定を使命としており、インフレ率目標2%程度を考慮しながら政策運営していくだろう。また上述のようにしばらくは雇用や所得の増大で消費余力が保たれ、コアCPIが急に落ち込む恐れも低い。

さらに原油価格の下げ止まりが定着すれば、中間財から最終財へと価格転嫁されていき、総合CPIもプラスに転じることも考えられる。

ただ、FRBは6月以降の利上げを否定しておらず、そうなると金融引締め効果が強まり、消費が低迷して物価は押し下げられる。それは10月から3月にかけて、ISM景況感指数が製造業で57.9から51.5、非製造業で56.9から56.5へと下落し、同指数の価格も各々53.5から39.0、52.8から52.4へと低下していることからも伺える。

また、原油価格が再び下落基調になり、それが後ずれで効いてきて中間財価格を通じて消費者物価へと波及し、下落していくことも否定できない。

いずれにせよ、金融政策と原油市況が物価にどう影響するかがポイントであることに変わりはない。(ZUU online 編集部)

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