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(写真=Thinkstock/Getty Images)

輸出増と原油安で、3月の貿易収支は33カ月ぶりに黒字に転化した。今後は米景気減速に加え内需回復と原油価格反転で、輸出失速と輸入拡大につながり、再び赤字に戻る可能性も否定できない。


過去最長の赤字から脱却

財務省発表の3月貿易統計によると、輸出総額は民間予想通り前年比8.5%増で7カ月連続拡大した。その結果6兆9,274億円となり、金融危機発生時の2008年10月(6兆9,148億円)の水準まで回復した。

中国向けは、2月に春節で-17.3%と落ち込んだが、3月はその休暇明けで3.9%増と2カ月ぶりに持ち直した。米国は景気が堅調で需要があるため、21.3%増と依然2ケタの伸び。これにEU向け9.1%増が加わり、全体の増勢を維持した。

品目では、米国や中東などに向けた自動車が10.5%増、アジア向けが伸びたスマートフォン用電子部品が12.4%増と好調を持続。建設用・鉱山用機械の17.6%増や金属加工機械の30.5%増も加わり全体を押し上げた。

輸入総額は6兆6981億円で、14.5%減と3カ月続けて悪化。民間予想の12.8%減も下回り2ケタの落ち込みとなった。

先述の通り、中国は休暇明けで需要が戻り対中輸出は増えたが、企業の生産活動はまだ不十分とみられ対中輸入は-19.6%と縮小した。さらに原油の主要調達先である中東は-42.6%とほぼ半減。原油及び粗油は-50.7%、石油製品は-38.3%、液化天然ガスは-12.3%と大きく底割れとなった。

堅調な輸出から縮減する輸入を引いた貿易収支は2293億円となり、前年同月の1兆4501億円の赤字から黒字に転換した。前月まで過去最長の赤字が続いてきたが、2年9カ月ぶりに黒字を確保した。中国の-1,742億円、EUの-39億円、中東の-6104億円などの赤字を、米国の6031億円が補完する形となり、対米貿易の重要性が大きい。


円安と米好景気、原油安が貢献

黒字転換の背景には、円安と堅調な米経済、原油安と内需低迷がある。

昨年後半から円安が加速しており、輸出価格指数も9か月上昇を維持している。数量指数は、中国が春節や成長率低下などでマイナス月が目立つのに対し、米国は経済の好調さから4カ月プラスを継続し全体の増大に寄与。これらが金額指数の7カ月連続伸長に貢献している。

一方、原油価格は3月に再下落し、去年7月の103.0ドル/バレルから47.8ドル/バレルへと半減した結果、輸入価格指数は4.6%の前年割れとなった。

また昨年3月は消費増税前の駆け込み需要で輸入が多かったが、今年はその反動が出た。これに上述の対中輸入減が加わり、数量指数も10.3%の2ケタ減。そのため金額指数は14.5%減と低調だった。

つまり、円安と米景気持続で輸出が拡大する一方、原油市況悪化と内需停滞などで輸入は縮小を免れず、貿易黒字転化を果たせたのだ。


黒字は当面継続も中長期的には疑問符

今後しばらくは、黒字が続くか、あるいは赤字でもその幅は大きくならないだろう。

FRBは6月以降利上げする可能性が高いが、日銀は金融緩和方針を変えておらず、ドル高円安は維持されるはずだ。ユーロ圏は量的緩和に伴い景況感も改善が見られ、米国もISM景況感指数が依然50を超えていることから、輸出数量も当面は上向きを持続すると見通せる。これに原油安と内需停滞で輸入が抑えられれば、貿易収支は引き続き改良へと向かう。

それでも中長期的には、再度赤字に陥ることも否定できない。

中国は直近GDPが前年同期比7.0%と6年ぶりの低水準にとどまり、2月に続き4月も預金準備率を引き下げるなど金融緩和を余儀なくされている。またFRBの利上げで米経済も減速する恐れがあり、輸出数量は減りかねない。他方、日本は増税の影響が薄れ賃金上昇が定着すれば、内需が戻り輸入数量が増える。さらに原油価格が反転し続けると、貿易収支は再び赤字拡大方向に振れていく。

米欧中の金融政策及び実体経済、原油市場の動向を引き続き注意深く見守らなければならない。(ZUU online 編集部)

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