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(写真=Thinkstock/Getty Images)

GW中に行われた広島-巨人の6回戦。あのサヨナラの幕切れには眉を顰めた野球ファンも少なからずいただろう。2対2で迎えた九回裏1死満塁。広島の打者がマウンド上空辺りに打ち上げたフライを巨人の野手がお見合いして落とした。

まさか落とすとは思っていないから、ボーンヘッドの連鎖が起きたのだ。インフィールドフライが宣告された時点で打者はアウト。塁上の走者には進塁の義務がなく、守備側がアウトをとるにはタッチプレーが必要。それなのに三塁走者はホームに突っ込むし、ボールを拾った野手はホースアウトと勘違いしてベースを踏んだだけ。

これについて元慶大野球部監督の江藤省三氏は、「ルール無知はどんな失策よりも恥ずかしい」と批判している。

「資本主義とギャンブルは本来同じもの。競馬と資本主義の両方を作った英国人はそれをよく知っている。だからこそ、そこでどう紳士的に振る舞うかというルールを長い時間をかけて身につけてきた」(月本裕「賭ける魂」)。

資本主義とギャンブルが本来同じとは、いささか言い過ぎの感もあるが、多分にその要素があることは否めない。「出たとこ勝負」という部分は、商売でも相場でも同じである。だとすれば、なおのこと、公平でフェアなルールが必要だ。サイコロが歪んでいたり、テーブルが傾いていたりしたら、ギャンブルだって成り立たない。

新規上場間もない企業による業績の大幅な下方修正。違法ではないが、「信義に悖(もと)る」と言う意味では市場のルールを逸脱している。苦境に喘ぐ電機メーカーによる大幅減資の発表。無論、違法ではない。しかし、減資後に「資本強化」の名目で銀行やファンドから出資を受ければ、既存株主の持ち分は大きく希釈化する。これもルールを無視している。

極めつけは、日本を代表する重電メーカーの不正会計。こちらは明らかにルール違反だった。過失で済まされる範囲か否か。可及的速やかな真相究明を求めたい。

前述の江藤氏は、「ルール無知はどんな失策よりも恥ずかしい」というが、上場企業はルール無知では済まされない。それでも不祥事が後を絶たないのは、無知ではなく「ルール無視」。つまり意図した失策であり、故意の過失であろう。言語道断である。そもそも野球のインフィールドフライは故意落球による併殺狙いを防止するためのルールだ。資本市場にも「故意落球」を厳しく取り締まるルールが必要ではないか。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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