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今週の特徴:住宅建ち直りで米ドル全面高/ECBが金利高を、RBAが通貨高を抑制

今週の為替市場では、米国の住宅着工件数の大幅回復・予想比上振れを受けたドル全面高に、ECB理事の資産購入一時加速示唆発言を受けたユーロ安が加わり、ユーロ/ドルが3%近く下落したのが特徴的だった。ドル/円もようやく、3月末以降の118.5-121円のレンジを上抜けしつつある。

■ドル/円:今週レンジ119.25~121.48円(想定を1円弱上振れ)

(前週時点の予想118.50~120.50円)

ドル/円は、19日に米4月住宅着工件数が113.5万件と市場予想を大きく上回り、冬場の減少前の水準を回復し7年振りの高水準となったことから、米景気減速懸念が後退し、米中長期債利回りの上昇と共に上昇、20日に121.48円の高値を付け3月末以降のレンジである118.5-121円の上限を上抜けし、3月10日の122.03円に迫るかたちとなった。但しその後は、米FOMC議事要旨で春以降の米景気の回復に慎重な議論もみられるなどややハト派的な内容と受け止められたことなどから、121円割れへ小反落している。

■ユーロ:今週レンジ1.1062~1.1453ドル、133.92-136.96円(想定を大きく下振れ)

(前週時点の予想1.130~1.160ドル、135.0~138.0円)

ユーロ/ドルは、週初18日はギリシャ政府の資金枯渇懸念が再浮上し1.14ドル半ばの高値から1.13ドルへ下落した。そして19日にはCoeure・ECB理事(市場操作担当)が、7-8月の流動性枯渇を控え、5-6月に資産購入を加速させ、必要であれば9月に追加購入を行う可能性を示唆したことから、ドイツ利回り急低下(10年債で0.1%ポイント程度)と共に続落、20日にかけて1.1062ドルの安値を付けた。

想定通り、ECB高官から口先介入が行われた訳だが、内容的には資産購入方法の変更に踏み込んだものだったため、ユーロの下落が大きくなった。とは言え、恒常的な量的緩和拡大ではなく、かつドイツ10年債利回りはその後元の水準(0.65%程度)へ反発しており、ユーロ下落余地を限定している。ユーロ/円もほぼ同様の動きとなり、週初に136.96円の高値を付けた後、20日に133.92円の安値を付けた。その後は134円台半ばの横ばいが続いている。

■豪ドル:今週レンジ0.7861~0.8052ドル、95.27~96.10円(想定以上に上値が重かった)

(前週時点の予想0.790~0.820ドル、95.0~97.5円)

豪ドル/米ドルは、週初はRBAからのコミュニケーションを受けてじり安となり、まず週初18日にはLowe副総裁が依然として利下げの余地がある、と述べたのに続き、19日公表のRBA議事要旨でも、将来の金融政策ガイダンスがなくても政策余地は限定されない、とされ、RBAのバイアスが緩和方向にあるという見方が強まり、0.80ドル割れとなった。そして19日の米住宅着工件数の予想比大幅上振れを受けて続落、20日にかけて0.7861ドルの安値を付けた。

その後も0.79ドルをはさんだ推移となっている。この間、中国における鉄鉱石価格の反落基調が強まっており、豪ドルの重石となっている。豪ドル/円もじり安基調となり、96円割れの水準から一時95.27円へ小幅下落となった。


来週の見通し:下方は寝過ごせ

来週は米経済指標が最大の注目で、特に今週の住宅着工に続き耐久財受注が明確な回復を示すと、ドル/円は上昇トレンド入りの可能性が高まる。

■米ドル/円:予想レンジ120.0~122.0円

来週は米国の耐久財受注(26日)と1QGDP改定値(29日)が最大の注目となる。耐久財受注は今週発表の住宅着工件数や小売売上高と共に、2月に大きく減少した後3月の回復が失望的に小さく、冬場の米景気減速を示す代表的指標の一つであるため、住宅着工に続いて大幅回復がみられれば、ドル/円は121円乗せが明確になりそうだ。

他方、1QGDPは前期比年率+0.2%とゼロに近かった速報値から-0.9%へ大幅に下方修正される見込みで、これ自体はドル安要因だ。もっとも、マイナス成長への下方修正は相当程度織り込み済みで、1QはGDP統計が示唆するほど悪くなかったとのサンフランシスコ連銀の分析も広まりつつあり、かつ耐久財受注が上振れしていれば、下方修正でもドル下落は限定的となりそうだ。

2Qにどの程度回復するかがより重要だが、1Q速報値をほぼ的中させたアトランタ連銀のリアルタイム推計によると、19日時点で+0.7%に留まっている(Bloomberg纏めによるエコノミスト予想のコンセンサスは+2.7%)。

本邦の材料はどちらかというと円高圧力となる。通関貿易収支(25日)は再び赤字転の見込みだが、昨年後半からの改善基調は続くと見られ、上振れリスクに注意したい。コアCPI(29日)は消費増税から1年経過したことから前年比のベース効果が剥落するが、消費増税を除くベースで4月分は+0.2%と3月からの横ばい・底固めが予想されており、今週の日銀決定会合における景気認識の小幅上方修正と合わせ、追加緩和期待の更なる後退に繋がりそうだ。

■ユーロ/ドル予想レンジ:1.100~1.130ドル ユーロ/円予想レンジ:133.0~136.0円

ユーロ圏では重要経済指標発表が少ない中で、ユーロ/ドルは強弱材料が交錯しもみ合いとなりそうだ。ユーロを巡ってはドイツ10年債利回り動向、月末に25億ユーロ相当の年金や給与支払いを迎えるギリシャ資金繰り動向関連のニュース、そして米経済指標が注目となる。

ドイツ利回りはECB理事発言でも下がらなかったことから再上昇リスクがあるほか、ギリシャが何とか資金を手当てし月末をクリアする目処が立つ、あるいは何らかの支援が行われればユーロ買いとなる。他方、ドイツ利回りが低下に向かい、かつ米耐久財受注が予想比上振れすれば、1.10ドル割れが視野に入ってくることになる。

■豪ドル/米ドル:予想レンジ0.780~0.800ドル 豪ドル/円:予想レンジ94.5~96.5円

豪ドルは、鉄鉱石価格の反落基調に加え、来週も27日にLowe副総裁、29日にEdey総裁補(金融システム担当)などRBA高官発言が予定されていることから、翌週6月2日にRBA理事会を控えていることもあり、軟調が続きそうだ。但し現在のところ、RBA6月理事会では2.00%で据え置き予想が圧倒的となっている。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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