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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆昨日は、本邦政府の円安容認姿勢と米耐久財受注の予想比上振れを受けて、ドル/円主導でドルが全面高となり、ドル/円は一時123.32円と07年7月以来の高値を付けた。

◆本日は材料が少ないが、ドル/円の急上昇に対する本邦政財界の反応が注目され、岩田日銀副総裁発言や菅官房長官発言が注目される。G7財務相・中銀総裁会合が開催されるが、当事者であるギリシャが参加する訳ではなく、打開に向けて進展が見込めるかは不透明で、材料となりにくそうだ。


昨日までの世界:久しぶりにドル/円が主役

ドル/円は、海外勢主導で東京時間からドル買い円売りが進み、欧州時間入りにかけて年初来高値(122.03円)を上抜けすると上昇が加速、123円丁度手前まで続伸した。

更に、注目されていた米4月耐久財受注が、除く輸送用機器で前月比+0.5%、設備投資の先行指標とされる非国防資本財受注、出荷も各々+1.0%、+0.8%と市場予想を大きく上回り、前月計数も上方修正されるなど総じて良好な結果で、冬場の減速が一時的との見方を強める内容だったことから、米中長期債利回りの上昇と共に123.32円と07年7月以来の高値を付けた。

この間、122円を超えた後のタイミングで行われた定例記者会見で菅官房長官が円相場について急激な変動とは言えない、と述べたこともドル/円の上昇を後押ししたようだ。ただしNY時間引けにかけては、米中長期債利回りは米株安もあってか反落しており、ドル/円の上昇モメンタムをやや抑制している。

ユーロ/ドルも、欧州時間にかけての全般的なドル高基調の中で1.09ドル台後半から1.09ドル割れへ下落、その後米耐久財受注の予想比上振れを受けて1.0863ドルの安値を付けた。

ユーロ/円はドル/円の影響をより強く受けたかたちとなり、133円台前半から米耐久財受注発表後に134.51円の高値を付けた。但しその後引けにかけては134円割れへ小反落している。

豪ドル/米ドルも、ユーロ/ドルと同様に、欧州時間入りにかけて0.78ドル割れへ下落、その後米耐久財受注発表を受けて0.7727ドルの安値を付けた。

豪ドル/円は、欧州時間入り後のドル/円の上昇と共に95円台前半から一時95.77円の高値を付けた。但しその後の米耐久財受注発表後の米ドル高局面では豪ドルの方が円よりも大きく下落したことから、95円台前半へ反落しほぼ元の水準に戻ったかたちとなった。


きょうの高慢な偏見:130円はどれだけ近いか?

ドル/円は、新規材料に乏しい中で、昨日の耐久財受注の予想比上振れを受けたドル高基調が継続するかが注目されるが、それをみるには本邦政財界の反応が注目される。

本日は異次元緩和推進役の一人である岩田日銀副総裁発言(10:30講演、14:00会見)や、中小企業の利益を代表する日本商工会議所会頭会見(14:00)、昨日は急激な動きではないとした菅官房長官が定例記者会見でどのように為替の発言のトーンを変えるのかも注目される。17:30には月例経済報告関係閣僚会議も予定されている。

昨日の動きは特に最近のレンジ相場と比較すれば急激な動きではあったが、米景気回復期待を受けたドル側の要因を受けた、理由が明確なドル/円上昇だ。目先、日銀は追加緩和姿勢を示しておらず、本邦サイドから円安要因が出てきそうにない状況で、ドル側の要因だけの片肺飛行では125円は可能だろうが、130円はやや遠そうに見える。

米国サイドでも、ドルが更に上昇すれば、ドルは長期的に過大評価とは言えず利上げ開始撤回とまではいかないにしても、利上げペースを遅らせる選択肢はあり、ここからのドル上昇ペースは鈍化しそうだ。

他方、日本では、米国要因を受けた円安でインフレ押し上げ効果が期待できるため、追加緩和の必要性が低下、また貿易収支が改善基調・経常黒字が拡大基調にある中で国際社会から追加緩和を通じた円安政策への批判が高まりやすい環境になりつつある。125円超えからは、日米当局の為替相場に対する許容度を吟味しつつ高値を追う展開となりそうだ。

ユーロ/ドルは、ドル高基調に加え、月末の25億ユーロの年金・公務員給与支払い期日到来を控え頭重く推移しそうだ。ギリシャ支援問題を巡っては、本日から29日までドイツ・ドレスデンで開催されるG7財務相・中銀総裁会合でも議論されるようだが、ギリシャはメンバーではなく、当事者抜きで具体的な進展が見られるのかは不明だ。

豪ドルは、足許手がかり材料難となっていることから、米ドル相場に引っ張られそうだ。

カナダでは、カナダ中銀金融政策決定が予定されているが、市場では政策金利は0.75%で当面据え置かれるとの見方が広がっており、カナダドルも大きな反応はなさそうだ。

目先、利下げを期待する向きが一部いるようだが、原油価格(WTI)が3月に底を付けて42ドル/バレルから一時60ドル乗せへ反発したものの、5月入り後は上昇が一服、横ばい圏内の動きとなっており、カナダ中銀も将来の金融政策の方向性に関するバイアスを示して折らず、中立が維持されそうだ。

山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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