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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆昨日もドル/円相場は続伸し一時124.46円を付けたが、本邦当局からのソフト口先介入頻度が増える中で神経質さがやや高まっている。

◆豪民間資本支出サーベイ結果が非常に弱かったことから、来週のRBA理事会を控えて豪ドルが大きく下落した。中国株価急落もセンチメントを更に悪化させたとみられる。

◆本日は、米1QGDP改定値が最大の注目だが、マイナス成長への下方修正は織り込み済みであることから、ドルの調整は限定的となりそうだ。むしろドル/円は市場予想通りの下方修正に留まれば125円を試す展開となりそうだ。

◆ただし、27日から開催されていたG7財務相・中銀総裁会合の閉幕にあたり、海外当局者、特にLew米財務長官がドル高の悪影響に言及しないか、注意が必要だ。


昨日までの世界:ドル/円続伸も、ソフト口先介入頻度の高まりでやや神経質に

ドル/円はドル高円安基調が継続し、東京時間から再び124円台乗せとなり、その後欧米時間にかけて一時124.46円と直近高値を更新、2002年12月以来の高水準となった。

この間、菅官房長官が「急激な変動は望ましくないというG20の合意がある」と述べたほか、麻生財務相も「ここ数日の値動きは荒い、今後とも注意深くみていく」と述べたこともあり、市場はやや神経質になっているが、現在のところ本邦当局は変動の大きさへの懸念は示しているものの水準への懸念は示しておらず、スピード調整の域に留まっているため、ドル高円安基調自体は続きそうだ。

なお、日米財務相会談後に米財務省は「国内目的には国内政策を用い、競争目的で為替相場をターゲットにしないという従来のG7、G20のコミットメントを全ての国が守ることが大事」との声明文を発表したが、足許のドル/円上昇は日銀の追加緩和によるものではないため、これをもって米国が日本を牽制しているというのはあたらなそうだ。

ユーロ/ドルは、依然としてギリシャ支援問題について債権者側とギリシャとの間の溝は埋まっていない模様だが、5月末の年金や公務員給与支払いはこなし、数日後には合意に達するとの楽観からか、1.09ドル丁度近辺から1.09ドル半ばへ強含みとなった。

ユーロ/円は、ドル/円とユーロ/ドルがいずれもじり高となったことから、135円丁度近辺から一時135.90円へ上昇した。

豪ドル/米ドルは、豪1Q民間資本支出(CAPEX)サーベイで1Q分が前期比-4.4%と予想の倍程度のマイナス幅となったほか、15年度の資本支出計画(第2回)も、通常は2月の当初計画から上方修正される傾向があるのに対し鉱業セクターを中心に-5.2%の下方修正となった。

今後の成長のけん引役として期待されている非鉱業セクターの小幅な伸びでは全体の落ち込みを補うことができなかったことも嫌気されたかたちとなり、0.77ドル台半ばから0.77ドル割れへ下落、欧米時間も続落し一時0.7618ドルと、4月2日に付けた直近安値である0.7533ドルに接近してきている。この間、中国株価の6%超の急落もセンチメント悪化に繋がったと見られる。

豪ドル/円は、豪ドル/米ドルの下落が大きかったことから、CAPEXサーベイ発表直後の96円台から94.58円へ急落した。


きょうの高慢な偏見:ルーがストロングドルをウォーリー?

ドル/円は、米1QGDP改定値発表が注目材料だ。前期比年率+0.2%とゼロに近かった速報値から-0.8%へ大幅に下方修正される見込みで、これ自体はドル安要因だ。もっとも、マイナス成長への下方修正は相当程度織り込み済みで、1QはGDP統計が示唆するほど悪くなかったとのサンフランシスコ連銀の分析も広まっており、かつ4-6月期の米経済指標がようやく上振れ傾向になってきたことから、下方修正されても過去の話、と解釈されドル安は限定的となりそうだ。

だからこそここまでドル/円は上昇してきたとも言える。ただし、これまで既に大きく上昇してきただけに、発表前にドル利食いから反落する可能性がある。市場予想程度の下方修正に留まれば、再び125円乗せを試す展開となりそうだ。

因みに、米利上げ開始決定においては2Qにどの程度回復するかがより重要だが、1Q速報値をほぼ的中させたアトランタ連銀のリアルタイム推計によると、26日時点で前期比年率+0.8%に留まっている(Bloomberg纏めによるエコノミスト予想のコンセンサスは+2.7%)。

なお、急速なドル高円安への内外からの牽制が強まらないかも一応注意しておく必要がある。本邦では、これまで麻生財務相、黒田日銀総裁、菅官房長官が異口同音に「急激な変動は望ましくない」と円相場の水準というより変動スピードを牽制する発言を繰り返している状況だが、これが水準への懸念に変わったり、金融・為替政策での対応を示唆するような発言に進化しないかが注目だ。

また海外ではG7財務相中銀総裁会合が開催されていることもあり、会合後に為替に関する声明文などが出される訳ではなさそうだが、Lew米財務長官がドル高の米景気への影響に言及したりすれば、週明けにかけてドル全般の調整に繋がるリスクもある。

日本では4月全国コアCPIが発表され、消費増税から1年経過したことから前年比のベース効果が剥落するが、4月分は+0.2%と3月(消費増税を除くベース)から横ばい予想となっており、追加緩和期待の更なる後退に繋がるが、為替への影響は限定的となりそうだ。

ユーロ/ドルは、米1QGDPの影響が最も大きそうで、どちらかというとドル安ユーロ高は限定的とみられるが、ギリシャ資金繰り問題で5月末を無事越せそうだということが明らかになれば、若干のユーロ支援材料となりそうだ。

豪ドル/米ドルも重要指標発表などがないことから、米1QGDPの結果に左右されそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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