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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆昨日は、ギリシャ支援合意への期待感やユーロ圏インフレ率の予想比上振れを受けて、ドイツ10年債利回りの急上昇とともにユーロが大幅上昇したのが特徴的だった。

◆ドル/円は東京時間に一時125円をつけたものの、その後は対ユーロでのドル安のあおりを受けて一時124円割れへ反落した。

◆本日は、豪1QGDP、ECB政策理事会そして米経済指標(ADP民間雇用、貿易収支、ISM非製造業、地区連銀報告)など材料が多い。ドル/円は特に米貿易赤字が大きく縮小すれば再び125円乗せとなりそうだ。

◆ECB政策理事会では、再上昇しつつあるドイツ10年債利回りとユーロを抑制するような姿勢が示されるかがポイントで、示されない場合のユーロ続伸リスクに注意したい。


昨日までの世界:ドイツ10年債利回りの不穏な急上昇

ドル/円は、東京時間に上値トライの動きから一時125.05円へ続伸した(2002年12月以来)。その後欧州時間にかけては124円台後半へ軟化していたが、NY時間入り後には対ユーロでのドル安のあおりを受けて反落、一時123.76円へ下落し前日の上昇前の水準に逆戻りした。

米4月製造業受注が前月比-0.4%と市場予想よりも大きく落ち込んだことも一因とされるが、この統計は月次の振れが大きくほぼ予想(-0.1%)の範囲内で衝撃的な悪さという訳では全くない。

ユーロ/ドルは、ユーロ圏5月HICP(総合インフレ率)が前年比+0.3%と、前月および市場予想を上回ったことからデフレ長期化懸念と追加緩和期待が後退したほか、ギリシャ支援問題について債権者側が支援条件で合意し、間もなく合意草案が完成するとの報道を受けて合意への期待感が高まったことから、ドイツ10年債利回りの急上昇と共に1.09ドル台前半から一時1.1192ドルへ大幅に上昇した。

ドイツ10年債利回りは昨日だけで17bps上昇し0.71%と、5月7日につけた0.78%に近づいた。ユーロ/円もユーロ/ドルの大幅上昇につれて、136円台半ばから138.87円へ大幅に上昇し、5月18日の直近高値(136.96円)を大きく上抜けした。

豪ドル/米ドルは、足許の弱い豪経済指標を受けて一部に利下げ期待が高まっていた中で、RBA理事会は政策金利を2.00%で据え置き、今後の金融政策についても特段ガイダンスを示さなかった。このため、緩和を期待していた向きの豪ドル買い戻しを誘い、豪利回りの上昇と共に0.76ドル台前半から0.77ドル台へ乗せた。そしてNY時間には対ユーロを中心とした全般的な米ドル安の流れの中で続伸、一時0.7790ドルへ上昇した。

豪ドル/円も、豪ドル/米ドル相場と同様の動きとなり、95円丁度近辺から96.59円へ大幅に上昇した。


きょうの高慢な偏見:赤の縮小と緩やかなベージュ

ドル/円は、NY時間に5月ADP民間雇用統計、4月貿易収支、5月ISM非製造業景況指数、そして米地区連銀報告(ベージュブック)など、米国関連材料が非常に多いが、中でも前月に-514億ドルへ大きく拡大していた貿易赤字が通常の水準(-400億ドル程度)へ縮小するかが最大の焦点だ。

輸出入のうち、輸入は既に回復していることから、出遅れている輸出も回復するかが重要だ。市場予想(-440億ドル)程度への赤字縮小でも、冬場の赤字拡大が米ドル高によるものというよりも西海岸港湾労働者ストなど一時的な要因によるものという認識が強まり、ドル押し上げ圧力となる。

またADP民間雇用は、公式雇用統計よりも振れは小さいもののやや出遅れていたことから、市場予想通り20万人増を回復できるかが注目される。

ベージュブックも6月17日のFOMCにおける情勢判断の一つとなるため注目され、特に前回分から景況判断が前進すればドル高要因となる。前回4月15日公表分では12地区連銀中、5連銀が緩やか(moderate)、3連銀が緩慢(modest)、1連銀が拡大(expand)、1連銀が僅かに拡大、2連銀が安定、としていた。

ユーロ/ドルではECB政策理事会が注目だ。政策変更は予想されていないが、Draghi総裁の記者会見で19日にCoeure理事(市場操作担当)が言及して市場を動かした資産購入プログラムの時期的調整(7、8月の流動性枯渇の前に前倒し)や9月の購入増加に関する何らかの追加情報が与えられるかが焦点となる。

再び上昇しつつあるドイツ10年債利回りを抑制するような強力な内容であればユーロ反落に繋がるが、特に国債利回りやユーロ上昇を抑制する意図が示されず、単に16年9月まで計画通り量的緩和を続ける、というこれまでのスタンスに留まるようであれば、利回りとユーロの続伸に繋がるリスクが高まっている。

豪ドル/米ドルは豪1QGDP結果が注目される。現在市場では前期比では+0.6%と前期(+0.5%)並みの伸びが予想されているが、前年比では+2.0%と前期の+2.5%から鈍化が予想されており、目先は豪ドルの上値抑制要因となりそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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