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(写真=Thinkstock/GettyImages)


労働市場は回復トレンド継続へ

■ADP雇用統計(前月差) 5月 +20.1万人 市場予想 +20.0万人 前月 +16.5万人(下方修正)

■(予想)非農業部門雇用者数 5月 市場予想 +22.6万人 マネックス証券 +21万人

■ISM非製造業景況感指数 5月 55.7 市場予想 57.0 前月 57.8

■新車販売台数(年率換算) 5月 1779万台 前月 1650万台


非農業部門雇用者数は21万人増を予想

米雇用関連会社のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が3日に発表した5月のADP雇用統計で「民間非農業部門雇用者数」は前月差20.1万人増と、前月から伸びが加速し、市場予想(20万人増)とほぼ一致した(グラフ参照)。

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ADP雇用統計が20万人増を上回ったのは2月以来3ヶ月ぶりで、米国の労働市場の伸び鈍化が一時的要因によるものだった可能性を高める結果となった。

先に発表されたISM景況感指数の雇用についての調査は、先に発表された製造業については前月から改善、非製造業は前月から悪化とまちまちで(グラフ参照)、判断しにくいものの、米国労働市場はこれまで同様概ね堅調なペースで回復軌道を描いていると考えて良いだろう。

5月の非農業部門雇用者数はADP雇用統計とほぼ整合的な前月差20万人増と予想している。

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ISM非製造業は悪化

3日に発表されたISM非製造業指数は55.7と前月から2.1ポイント悪化し、市場予想も下回った。冬場に製造業の景況感が大きく悪化する中でも、非製造業の景況感は高水準を保ってきたが、製造業がようやく改善に転じたタイミングで非製造業が悪化ということになってしまった。

指数の内訳を見ても、ヘッドラインを構成する「新規受注」「入荷遅延」「雇用」「業況」の4項目がいずれも悪化と内容も良いとは言えない(グラフ参照)。

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もちろん水準自体はいまだに改善と悪化の境目となる55を大きく上回るもので、現時点で過度に悲観する必要はないが、来月以降悪化が続かないか注意してみておく必要がある。


伸びが顕著だった新車販売台数

同じく3日に発表された新車販売台数は年率換算1779万台と前月から販売台数が加速し、2005年7月以来約10年ぶりの高水準となった(グラフ参照)。個人消費や製造業景況感の先行指標となる新車販売台数が加速したことは極めてポジティブな材料である。

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ISM非製造業指数のように悪化する指標もあって、全ての経済指標が一挙に改善に向かうというわけにはもちろんいかないが、改善基調を示す経済指標は徐々に増えている。今後も良好な経済指標が発表されれば利上げが意識されて株が売られるといった展開が想定されるが、本来米国経済の復調は米国にとっても、世界経済にとってもポジティブなニュースである。

利上げできる状況というのは、経済が復調しているからであり、過去3度の利上げ局面を見ても、利上げから数ヶ月間は調整が続くものの、後から振り返れば買いのチャンスだった。今後株価が下落する局面に少しずつ買いを入れていくという手法は長期的に見て報われやすい投資法であろう。


用語解説

■雇用統計(米国)

米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

■ISM景況感指数

ISM(InstituteforSupplyManagement 供給管理協会)が発表する景気転換の先行指標である。供給管理協会が企業の担当者にアンケート調査を実施して作成しており、主要経済指標の中ではいち早く発表されることから景気の先行指標として重要視されている。数値が50を上回れば企業の景況感が好転、50を下回れば悪化していることを示す。製造業、非製造業それぞれ別に指標が発表される。

■新車販売台数

オートデータ社が毎月月初に前月分を発表する米国の新車販売台数。販売台数は個人消費動向の確認に加えて、関連部品などが多岐にわたり製造業全体に影響をあたえるため注目を集める。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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