GDP
(写真=Thinkstock/Getty Images)

アベノミクスとは「三本の矢」(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)の政策により企業を刺激し、企業活動の回復の力を使って構造的な内需低迷とデフレからの完全脱却を目指すものである。そうであれば、企業の期待成長率や期待インフレ率が上昇していることが重要である。

実際に企業の期待成長率や期待インフレ率を直接的に観察することは難しいが、企業活動の回復の目安である企業貯蓄率が大きく低下していることを考えれば、企業の期待成長率や期待インフレ率が上昇していると考えてよさそうだ。

では、政府・日銀が目指す2%の安定的な物価上昇に十分なほど、期待成長率や期待インフレ率は上昇しているのだろうか。または、完全雇用や過度な円安によるコスト上昇が企業活動を抑制してしまうリスクとなるほどなのだろうか。

期待成長率や期待インフレ率が過度に上昇していたり、雇用不足感やコスト上昇に対する懸念が大きくなった時に、企業がどういう行動にでると考えられるのかが、その判断の目安となろう。

企業が持つ期待成長率や期待インフレ率が弱い、または在庫管理システムが効率化することにより、在庫投資の変化はマイナスとなりやすい。しかし、持続的な経済成長、そして物価・コストも持続的に上昇することを企業が予測し始めれば、在庫管理システムの更なる効率化を考慮しても、在庫投資の変化はプラスになるはずである。

ましてや、完全雇用や過度な円安によるコスト上昇が企業の将来の活動を抑制してしまうリスクとなるほどであれば、在庫を削減するのは企業にとって合理的ではないはずだ。コストや価格が上昇する前の生産活動の拡大による現在の在庫投資(製商品、流通在庫、仕掛品、素原材料のどれでも)は、将来のコスト削減や利益増加につながると考えられるからだ。