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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆昨日は、Obama大統領のドル高懸念発言報道(のち否定)がきっかけとなってドルが反落し、先週金曜の米雇用統計前の水準に逆戻りした。ドル/円も125円台半ばから一時124.30円へ急落した。

◆ユーロは、ドイツ鉱工業生産の予想比上振れやECB高官の金利上昇容認発言を受けて、ドイツ利回りと共に上昇した。

◆本日は材料が少ない中、昨日のドル安は根拠薄弱であることからドル押し目買いが入り易く、ドル/円は125円回復に向かいそうだ。他方、ユーロは、ドイツ10年債利回りからくる上昇圧力がかかっており、特に対円で続伸バイアスがある。


昨日までの世界:利回り上昇は成功か、失敗か

ドル/円は、東京時間夕方に、G7首脳会合に参加したフランス当局者が「Obama米大統領はドル高が問題だと発言した」との発言報道が流れると、125円台半ばから一時125円丁度へ下落した。

その後Obama大統領からも否定されたが、NY時間には米株安や米中長期債利回りの低下と共に再び下落し、一時124.30円と先週金曜の米雇用統計発表前の水準をも下回った。

ユーロ/ドルは、ドイツ4月鉱工業生産が前月比+0.9%と市場予想(+0.6%)を上回ったほか、Nowotnyオーストリア中銀総裁が、最近の利回り上昇はECBの成功を物語るものだ、として抑制どころか歓迎姿勢を示したことから、ドイツ10年債利回りの小幅上昇もあって1.10ドル前後から一時1.1307ドルへ反発し、先週金曜の米雇用統計発表前の水準を上回った。

ユーロ/円は、ドル/円の上昇よりもユーロ/ドルの上昇の方が大きかったことから、139円台前半から140.75円へ小幅上昇し、6月4日に付けた直近高値である141.06円に再び近づいた。

豪ドル/米ドルは、中国5月輸入統計が前年比-17.6%と予想外にマイナス幅が大幅に拡大したが反応は限定的で、0.76ドル台前半での弱含みに留まった。むしろ欧米時間の米ドル安傾向を受けて0.7713ドルへ上昇、ほぼ先週金曜の米雇用統計発表前の水準を回復した。

豪ドル/円は、対米ドルで豪ドルと円がほぼ同程度の上昇となったことから、95円台後半で横這い圏内の推移となった。

トルコリラは、7日の総選挙で与党AKPの得票率が過半数に満たなかったことから政権不安定化懸念が高まり、週明け月曜早朝に対円で47円台から45円台半ばへ急落した。その後欧州時間入りにかけて再度下落し、一時44.69円の安値をつけ、4月27日の安値である43.47円に迫った。

もっとも、トルコ中銀がドル建て1週間物貸出金利を4.0%から3.5%へ引下げ、リラ安の抑制を図ろうとしたことなどから45円台前半で一旦落着いたかたちとなった。


きょうの高慢な偏見:ユーロ/円の上昇バイアス

ドル/円は、11日の米小売売上高が今週の焦点となる中で材料が少ない中、昨日のドル下落が続くのか、格好のドル押し目買いの好機となるのかは不明だが、昨日のドル安の根拠が薄弱であることを踏まえると、どちらかというとドル押し目買いが入り易そうだ。

ユーロ/ドルは、ドイツ10年債利回りとギリシャ関連情報を両睨みの展開だが、ドルの材料がないうちはECB高官の金利上昇容認姿勢から上昇バイアスがかかりそうだ。ドル/円反発の可能性と合わせると、ユーロは対ドルよりも対円で上昇し易そうだ。

豪ドル/米ドル関連では豪5月NAB企業景況感・企業信頼感、および豪5月住宅ローンが注目材料となる。NAB企業景況感、信頼感は前月の改善が続くようだと、豪州の主要輸出品である鉄鉱石価格の持ち直し基調とあいまって、豪ドルの下支え材料となりそうだ。

他方、住宅ローンについては、特に投資家向けローン増加は住宅バブル懸念を高めるが、豪州ではこうした問題に対して金融政策(利上げ)よりもまず先に金融規制強化(マクロプルーデンス政策)で対応しようとしていることから、現時点では強い結果が必ずしも利上げ期待と豪ドル高には結びつかないとみられる。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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